キセニア→ 植物の遺伝子における花粉の影響

キセニア→ 植物の遺伝子における花粉の影響

キセニアとは?

キセニアとは、授粉された植物の母体個体の花粉の影響により、種子やその後の果実の性質に変化が現れる現象を指します。つまり、母体植物の受粉が、その子孫の表現型に影響を与えるのです。この現象は、遺伝的に異なる花粉が母体植物の雌ずいに付着した場合に起こるため、花粉由来の遺伝子が母体植物の遺伝子に影響を与える結果として生じます。キセニアは、果実のサイズ、色、形、風味などのさまざまな特性に影響を与えることが知られています。

キセニアの仕組み

キセニアとは、花粉が親株の花粉親に由来する種子に与える遺伝的影響のことです。この影響は、果実の外観、味、形など、種子の形質に現れます。例えば、スイカの品種によっては、自家受精した場合の果肉は赤くなりますが、別の品種の花粉によって受粉した場合の果肉は黄色くなることがあります。

キセニアは、花粉が雌しべの柱頭に着床した後に起こります。花粉管が胚珠に到達すると、胚珠内の胚嚢が受精し、種子が形成されます。この過程で、花粉由来の遺伝子が種子の遺伝形質の一部として取り込まれるため、キセニアが発生します。

キセニアの例

キセニアの例として、トウモロコシでは花粉親によって異なる色の粒が得られることが知られています。粒の色は、抗酸化物質であるアントシアニンによって決まり、このアントシアニン産生に関わる遺伝子は花粉親に由来します。そのため、異なる色の花粉を持つトウモロコシを交配すると、粒の色が花粉親の影響を受けて変化します。例えば、白い花粉を持つ品種と紫色の花粉を持つ品種を交配すると、粒は紫色になります。

キセニアの利用

キセニアの利用

キセニアは、果物や野菜の品質向上のために利用することができます。例えば、リンゴでは、花粉親としてキセニア効果の高い品種を使用することで、果実の着色を高めたり、糖度を高めたりすることができます。また、トマトでは、花粉親として保存性の高い品種を使用することで、果実の保存性を向上させることができます。さらに、スイカでは、花粉親として収量の多い品種を使用することで、果実の収量を増やすことができます。

キセニアの注意点

キセニアの注意点

キセニア現象を活用する際は、いくつかの重要な注意事項があります。まず、キセニアの効果は一時的なものです。果実や種子が成熟すると、キセニアの影響は消失します。また、キセニアは花粉供給源として使用される品種に限定されます。つまり、両親のどちらか一方の品種にしかキセニアの効果は現れません。さらに、キセニア効果が現れるためには、受粉が成功している必要があります。受粉が不十分だったり、花粉が十分に成熟していなかったりすると、キセニア効果は現れません。