蕾授粉とは?自家不和合性系統で自殖する種子を得る方法
ガーデニングを始めたい
先生、『蕾授粉』について詳しく教えてください。
ガーデニング研究者
『蕾授粉』とは、自家不和合性という特性を持つ植物において、自殖するための手段だよ。
ガーデニングを始めたい
自家不和合性とはどういう意味ですか?
ガーデニング研究者
自家不和合性とは、同じ個体の花粉と雌しべが受粉できない性質のことだよ。
蕾授粉とは。
園芸用語の「蕾授粉」とは、自家不和合性の植物で自家受粉による種を得るための方法です。自家不和合性とは、同じ個体の雄しべと雌しべの間で受精できない性質のことです。蕾授粉では、蕾の段階でピンセットを使って人工授粉を行います。
自家不和合性とは?
-自家不和合性とは?-
自家不和合性とは、植物が自身の花粉では受精できない仕組みです。一般的に、植物の雌しべ(受粉する側)には、花粉(授粉する側)と相性が良いタイプがあります。相性の良い花粉が到達すると、雌しべは柱頭と呼ばれる部分に花粉管を形成し、花粉管が胚珠(種子のもと)まで伸びて受精を行います。
しかし、自家不和合性のある植物では、雌しべは自身の株から由来する花粉を認識して拒絶反応を示します。そのため、自身の株の花粉では受精できないのです。この仕組みは、近親交配を防ぐことで遺伝的変異を維持し、種の生存力を高める役割があります。
蕾授粉の方法
蕾授粉の方法では、具体的に蕾授粉を行う手順を説明します。まず、自家不和合性系統の植物の蕾を人工的に受粉させます。この際、花粉は他品種のものを使用することが重要です。受粉は、綿棒や筆先などの柔らかいもので、雄しべから雌しべに移すことで行われます。
受粉後、蕾はそのまま袋で包み、風や昆虫などの外来受粉を防止します。この作業は、蕾が開花するまで続けられます。開花後、結実した蕾から自殖する種子が得られます。これらの種子は、自家不和合性の影響を受けずに発芽し、親系統と同じ遺伝的特徴を有します。
蕾授粉を行う品種
蕾授粉法は、自家不和合性という自家受精できない性質を持つ植物で、自殖種子を得るために用いられる手法です。この手法を実施するためには、蕾授粉を行う品種を選ぶ必要があります。自家不和合性植物では、花粉が雌しべに付着しても、自家受粉では受精が成立しません。そのため、他個体から花粉を受け取ることで受精を可能にする必要があります。
蕾授粉を行う際の注意点
蕾授粉を行う際の注意点として、以下のような点を考慮する必要があります。
花粉の成熟時期に蕾授粉を実施し、未熟な花粉を使用しないようにしましょう。自家不和合性植物においては、同一系統内の花粉は認識拒否されません。そのため、同じ系統の花粉を誤って使用すると、他家受粉と同様に交雑種子を得てしまいます。
蕾の段階で授粉を行いましょう。開花後の受粉では、受粉が遅れて交雑種子を得る可能性が高くなります。蕾は、葯が盛り上がってきて花弁がわずかに開いている状態が適しています。
雄しべの除去を適切に行いましょう。蕾授粉では、雌しべの先端に花粉を直接付けます。そのため、雄しべの葯を取り除いておく必要があります。雄しべの除去には、ピンセットやハサミなどを使用し、葯を傷つけないように慎重に行いましょう。
蕾授粉のメリットとデメリット
-蕾授粉のメリットとデメリット-
蕾授粉は自家不和合性系統の植物において自殖種子を得るための方法です。自家不和合性とは、同一株の花粉が同一株の雌しべに受粉しても種子ができない現象のことです。蕾授粉を行うことで、特定の花粉と雌しべを交配させ、自殖種子を得ることができます。
蕾授粉のメリットとしては、特定の組合せの雑種を得ることができる点が挙げられます。従来の交配方法では得られない、 desired な形質を持つ個体を得ることができます。また、世代間の交配を省略することができるため、効率的に新しい品種を開発することができます。
一方、蕾授粉にはデメリットもあります。まず、労力がかかり時間のかかる作業である点が挙げられます。蕾を摘み取り、花粉を雌しべに受粉する作業が、膨大な数の花に対して必要となります。また、受粉効率が低く、期待した数の種子が得られない場合があります。さらに、突然変異を導入できないという性質があります。