園芸用語『不和合性』とは?
ガーデニングを始めたい
「不和合性」ってどういう意味ですか?
ガーデニング研究者
雌しべと雄しべが健全なのに、受精しない状態のことだよ。
ガーデニングを始めたい
自家受粉と他家受粉の違いってなんですか?
ガーデニング研究者
自家受粉は同じ花の中での受粉、他家受粉は別の花の中での受粉のことだよ。
不和合性とは。
不和合性とは何か
園芸用語における「不和合性」とは、特定の品種間の受粉が阻害される現象を指します。この現象は、花が自己受粉や近縁の個体との受粉を避けるために発生します。不和合性は、雌しべの柱頭と花粉粒の相互作用によって決定されます。両者の遺伝的な型が一致しない場合、花粉管の伸長が阻害され、受粉が失敗します。このメカニズムにより、遺伝的多様性が維持され、近親交配による劣性遺伝子の蓄積を防ぐことができます。
自家不和合と交配不和合
-自家不和合と交配不和合-
園芸用語の「不和合性」には、2つのタイプがあります。自家不和合と交配不和合です。
自家不和合とは、同一の植物内で自ら花粉と雌しべを交配させても受粉しない状態です。これは、植物が近親交配による遺伝的多様性の低下を防ぐための仕組みです。自家不和合性の植物は、受粉に虫や風などの媒介者を必要とします。
交配不和合とは、異なる品種間の交配でも受粉しない状態です。これは、異なる種や品種間の遺伝的差異が大きすぎると、受粉や胚の形成が阻害されるためです。交配不和合性は、特定の品種や種の間で起きることがあります。
自家和合と交配和合
自家和合とは、植物が自身の花粉で自家受粉することができる状態です。これにより、単一の親株から多くの種子が得られるという利点があります。一方、交配和合とは、別の植物の花粉を受粉して種子を得る状態です。この方法は、品種の多様性を生み出すのに役立ちます。
自家和合と交配和合は、植物の遺伝的特徴によって決まります。一部の植物は自家和合性で、他の植物は交配和合性です。また、一部の植物は両方の状態を示し、自家不和合性または偽自家不和合性と呼ばれます。
不和合性の遺伝
-不和合性の遺伝-
不和合性は遺伝的要因によって決まります。各植物には、特定の遺伝子座で1つまたは2つの不和合性アレールを有します。これらのアレールは、雄しべと雌しべの双方に存在し、相互作用して受粉の親和性を決定します。同じアレールを持つ配偶子(雄しべの花粉と雌しべの胚珠)同士は不和合で、受精が妨げられます。一方、異なるアレールを持つ配偶子は和合で、受粉と受精が可能になります。
植物は通常、異なる不和合性アレールを2つ有しており、これはヘテロ接合体と呼ばれています。これにより、花粉と雌しべの両方がさまざまな互換可能な配偶子を持つため、より広い範囲の配偶子と交配できます。自家不和合性では、植物は自分の花粉との交配を妨げ、近縁との交配による近交弱勢を避け、遺伝的多様性を維持します。
一代雑種における不和合性の利用
一代雑種における不和合性の利用
不和合性を利用すると、一代雑種において特定の形質を安定して発現させることができます。一代雑種とは、異なる2つの系統の交配によって生まれた個体のことです。一般的な一代雑種は、一代限りの性質しか持たず、親と同じ形質を子孫に受け継ぐことができません。しかし、不和合性を利用することで、親と同じ形質を子孫に受け継ぐことができるようになります。具体的には、不和合性のある系統同士を交配すると、不和合性遺伝子のため、花粉と雌しべが結合しにくくなります。そのため、受精が困難となり、受粉後も果実がつきにくくなります。しかし、自家不和合性遺伝子と他家不和合性遺伝子が異なる場合には、受粉して果実がつきます。この現象を利用して、親が持つ望ましい形質を組み合わせて一代雑種を作ることで、その形質を子孫に受け継がせることができるのです。