枝変わりで新しい品種をつくる

枝変わりで新しい品種をつくる

枝変わりとは？

枝変わりとは、既存の品種の枝に突然変異が生じ、その変異した枝から育った木が、親の木と異なる性質を持つようになる現象のことです。この変異は、遺伝子の突然変異、成長条件の変化、環境要因などによって引き起こされます。枝変わりは、果樹、花木、観葉植物など、さまざまな植物に起こり、新しい品種を生み出すために利用されています。

枝変わりに潜む突然変異

枝変わりに潜む突然変異

枝変わりは、突然変異が引き起こす現象です。突然変異とは、遺伝子に何らかの変化が生じることで、植物の性質や形質が大きく変化することです。これらの変化は、個々の植物の性質を変えるだけでなく、時には新しい品種を生み出すこともあります。枝変わりでは、枝の一部が親植物とは異なる形質を示し、それが安定して固定されると新しい品種として扱われます。この突然変異は、自然に発生することも、人為的に誘発することもできます。

染色体数の増減も枝変わりを誘発

染色体数の増減も枝変わりを誘発します。植物の染色体は、遺伝情報を担う構造体です。染色体数の変化は、新しい形質の発現を引き起こす可能性があります。たとえば、染色体数の増加は、果実の肥大や葉の大きさの変異につながることがあります。逆に、染色体数の減少は、葉の縮小や花弁数の減少を引き起こす可能性があります。染色体異常は、環境ストレスや化学物質などの要因によって引き起こされることがあります。これらの染色体異常は、新しい品種の開発に役立つ可能性があります。

枝変わりから新品種を誕生させる

枝変わりから新品種を誕生させるは、偶然発生した変異を厳選し、安定した新しい品種を生み出す方法です。植物の個体の中には、親とは異なる性質や外観を示すものがまれに発生します。こうした変異は枝変わりと呼ばれ、新しい品種の源となります。

選抜には、望ましい形質を備えた個体を選び、それらを繁殖させていくという作業が含まれます。多くの場合、交配によって遺伝的な多様性を維持すると同時に、望ましい形質を固定化していきます。また、発根や接ぎ木などの組織培養技術を用いて、変異した個体をクローン化して増殖させることもあります。

このプロセスは、時間と労力がかかり、成功する保証はありません。しかし、新しい品種を生み出すというメリットは大きく、果物や野菜、花卉業界で広く活用されています。また、より耐病性や耐寒性に優れた品種の開発にも役立っています。

挿し木や接ぎ木繁殖で枝変わりを定着させる

枝変わりを利用した品種改良では、新しい品種を得るために、枝変わりした部分だけを切り取って、挿し木や接ぎ木によって増殖させ、「系統分離」と呼ばれる作業で、枝変わりした形質が安定した新しい品種にします。この技術を用いることで、親品種と異なる性質の枝変わりを、新しい品種として定着させることが可能となります。