レンズの宿命『球面収差』

レンズの宿命『球面収差』

カメラの初心者

「球面収差」について教えてください。

カメラ写真マニア

「球面収差」は、レンズが球面であるために発生する収差です。レンズの中心からの光と周辺からの光ではピント位置が異なり、焦点移動や光の滲みを生じさせます。

カメラの初心者

この収差を防ぐ方法を教えてください。

カメラ写真マニア

絞り込みで周辺光をカットしたり、非球面レンズを使用することで補正できます。また、球面収差には5つの種類があり、これらはザイデルの5収差と呼ばれます。

球面収差とは。

レンズの「球面収差」とは、レンズが球面の形をしていることで、中心から入る光と周辺から入る光の焦点位置がずれてしまう現象です。これにより、焦点が大きくずれたり(焦点移動)、強い光源の周囲に光のにじみ(ハロ)が生じたりします。

球面収差は、絞りを絞って周辺から入ってくる光を遮断することで除去できます。また、レンズを完全に球面ではなく、凹凸のある非球面にすることで補正できます。

レンズの球面形状によって生じる収差には、球面収差以外にも、非点収差、コマ収差、像面湾曲、歪曲収差があります。これらの5つの収差は、発見者の名前から「ザイデルの5収差」とも呼ばれています。

球面収差とは

球面収差とは

レンズの宿命「球面収差」

その中でも、「球面収差」はレンズの宿命といえるほど、避けられない収差の一つです。これは、レンズの表面が球面であるために光軸以外の斜光がレンズを通過する際、レンズの厚みが異なる部分を通るため、焦点が異なる位置に結ばれる現象です。そのため、対象物の像がゆがんでぼやけてしまいます。

球面収差の要因

球面収差の要因

レンズの宿命『球面収差』の要因として挙げられるのは、レンズの形状です。レンズは主に球面形状をしており、この球面が光を屈折させ、像を結ぶ働きをしています。しかし、この球面形状が光軸に対して入射した光と、周辺부で入射した光では屈折率が異なるため、理想的な像を結ぶことが困難になります。この現象が球面収差と呼ばれるのです。

球面収差は、レンズの焦点距離や絞り値、被写体までの距離などによって影響を受けます。焦点距離が長いレンズほど球面収差が顕著になり、絞り値を絞ることで球面収差は軽減されます。また、被写体までの距離が近くなるほど球面収差は大きくなります。

球面収差による現象

球面収差による現象

レンズの宿命『球面収差』

この球面収差とは、光軸上の一点から発せられた光がレンズを通過した後に再び一点に集まるはずが、球面レンズの形状により像面が湾曲し、複数の点に像が結像してしまう現象を指します。この収差によって、本来点で結像すべき像がボヤけてしまったり、コントラストが低下したりといった画質の劣化につながります。

球面収差の補正方法

球面収差の補正方法

球面収差の補正方法

球面収差はレンズの避けられない宿命ですが、さまざまな手法で補正することができます。最も一般的な方法は、非球面レンズの使用です。これらは、従来の球面レンズよりも複雑な形状をしていますが、球面収差を効果的に低減します。

もう1つの手法は補正レンズの使用です。これは、球面収差を打ち消すように設計された追加のレンズエレメントです。補正レンズは、単一の非球面レンズよりもコストがかかりますが、より高いレベルの収差補正が可能です。

さらに、絞りを使って球面収差を制御することもできます。絞りを絞ると、レンズを通過する光の量と角度が制限され、球面収差が軽減されます。ただし、絞りを絞りすぎると、被写界深度の減少や光の減少につながる可能性があります。

ザイデルの5収差

ザイデルの5収差

ザイデルの5収差とは、球面収差によって生じる像の歪みを5つに分類したもので、レンズの設計の基礎となっています。これらの収差は、点光源から発せられた光がレンズを通過するときに、レンズの球面形状によって発生するものです。

1. 球面収差 光軸上の異なる点に像が形成され、点光源がぼやけてしまいます。
2. コマ収差 像が点ではなく、彗星の尾のように伸びてしまいます。これは、光軸から離れた光線の傾きが場所によって異なるためです。
3. 非点収差 点光源の像が点にならず、線が引かれたような形になります。これは、光軸に垂直な光のうねりが抑えられるためです。
4. 歪曲収差 像が曲がった形状になります。これは、光軸に近い光線と遠い光線で像の拡大率が異なるためです。
5. 像面湾曲 像が平面ではなく、湾曲した面になります。これは、光軸に平行な光線は球面の中心で像を形成するのに対し、光軸から離れた光線はそれより離れた場所で像を形成するためです。

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