結婚祝いとして、親や祖父母から100万円という高額なご祝儀をいただいたとき、そのお返しをどうしたらよいのか、この場合の一般的なマナーはどうなっているのか気になるかもしれません。また、ご祝儀として受け取った収入は確定申告の対象になるのかという税金の観点からも考慮が必要になります。
この記事では、100万円というような高額のご祝儀を受け取った際のマナーや、お返しをどうするか、さらには確定申告の観点についても解説します。結婚という晴れの舞台を大切にするために知っておくべきこととして、ぜひご参考にしていただきたいと思います。
一般的に、ご祝儀の相場はどれくらい?
一般的に、結婚式のご祝儀の相場は、友人や職場の上司・同僚・部下などの場合、3万円が一般的です。3万円のおおよその内訳は、お祝い金が1万円、結婚式の飲食代と引き出物代が2万円となっており、お祝いの気持ちと式にかかる実費をまかなえる適度な金額だったため、相場として定着したといわれています。
ただし、新郎新婦との関係や自分の立場によって、相場は変わってきます。
- 新郎新婦との関係
- 親族の場合は、3万円~10万円程度が相場です。
- 友人の場合は、2万円~3万円程度が相場です。
- 職場の上司の場合は、3万円~5万円程度が相場です。
- 職場の同僚の場合は、3万円程度が相場です。
- 職場の部下の場合は、2万円~3万円程度が相場です。
- 自分の立場
- 自分が目上の立場の場合は、3万円以上の金額を包むこともあります。
- 自分が収入が少ない場合は、2万円程度でも問題ありません。
また、夫婦で出席する場合は、連名で包むのが一般的です。この場合、3万円×2人=6万円になりますが、偶数は縁起が悪いとされるため、5万円か7万円にするのがよいでしょう。
ご祝儀を包む際には、これらの点を考慮して、適切な金額を包むようにしましょう。
総額100万円以上のご祝儀を受け取っている方の割合は?
結婚式を実施した際、総額100万円以上のご祝儀を受け取っている方の割合は、2022年時点で約60%です。
結婚式場予約サイト「ハナユメ」が2022年7月に実施したアンケート調査によると、結婚式を実施した方の約60%が、総額100万円以上のご祝儀を受け取っていたことが分かりました。
このうち、両親からのご祝儀が100万円以上だった方は約83%、友人や職場の人からのご祝儀が100万円以上だった方は約17%でした。
両親からのご祝儀が100万円以上だった方の割合が高い理由としては、親族の経済力や新郎新婦との関係の良さなどが考えられます。友人や職場の人からのご祝儀が100万円以上だった方の割合は、両親からのご祝儀に比べると低いものの、それでも約17%と高水準です。これは、最近では友人や職場の人からのご祝儀も、親族からのご祝儀と同様に高額になる傾向にあるためと考えられます。
結婚式のご祝儀の総額は、新郎新婦の親族や友人、職場の人の経済力や新郎新婦との関係の良さなどによって大きく変わってきます。しかし、最近では、両親からのご祝儀だけでなく、友人や職場の人からも高額なご祝儀を受け取るケースが増えているようです。
他の資料として、「ゼクシィ 結婚トレンド調査2022調べ」についてご紹介します。
株式会社リクルートが運営する「ゼクシィ 結婚トレンド調査2022調べ」によると、結婚式の関連費用としての親・親族からの援助があったと回答した人は71.9%、具体的な金額は100万円から200万円未満が40%近くで最も多くなっています。
また、結婚式の総額は362.3万円で、昨年の調査から7.4万円増加しています。また、披露宴・ウエディングパーティの招待客人数は66.3人です。
挙式形式は「人前式」が28.5%で、2014年調査から4.3ポイント増加しています。これは、宗教や宗派にとらわれずに、自分らしい結婚式を挙げたいと考える人が増えていることが背景にあると考えられます。
また、挙式、披露宴・ウエディングパーティの費用としての親・親族からの援助があった人は71.3%で、2014年調査から3.8ポイント増加しています。これは、結婚式の費用が高騰していることに加え、結婚式を挙げることを親に喜んでもらいたいという気持ちが強まっていることが背景にあると考えられます。
以下に、ゼクシィ結婚トレンド2020調べの主な結果をまとめます。
- 結婚式の総額は362.3万円で、昨年の調査から7.4万円増加
- 披露宴・ウエディングパーティの招待客人数は66.3人
- 挙式形式は「人前式」が28.5%で、2014年調査から4.3ポイント増加
- 挙式、披露宴・ウエディングパーティの費用としての親・親族からの援助があった人は71.3%で、2014年調査から3.8ポイント増加
これらの結果から、近年の結婚式は、自分らしい結婚式を挙げたいという思いや、結婚式を挙げることを親に喜んでもらいたいという思いが強まっていることがうかがえます。
総額100万円以上のご祝儀を受け取っている方の割合
先輩カップルの結婚式では、驚くべきことに約9割のカップルが総額100万円以上のご祝儀を受け取っています。しかし、これとは対照的に100万円未満のご祝儀を受け取るカップルは11.1%にとどまっています。
具体的な数字を見てみみましょう。
100~150万円未満 | 10.6% |
150~200万円未満 | 13.8% |
200~250万円未満 | 21.4% |
250~300万円未満 | 13.8% |
300~350万円未満 | 14.9% |
350万円以上 | 14.4% |
ご祝儀額平均 | 227.8万円 |
また、1人あたりのご祝儀額は、新郎新婦との関係によって変動します。
友人 | 3.0万円 |
上司 | 4.0万円 |
親族 | 6.9万円 |
恩師 | 3.8万円 |
一般的には1人当たりのご祝儀が数万円が一般的ですが、中にはおひとりで100万円以上のご祝儀を送ってくれる方も見受けられます。
両親からのご祝儀はどれくらい?
100万円以上のご祝儀を送ってくださる方々の多くは、新郎新婦と極めて親しい血縁関係者です。特に新郎新婦のご両親からのご祝儀額は注目に値します。ご祝儀(お祝い・援助)の額について詳しく見てみましょう。
100万円未満 | 17.0% |
100~200万円未満 | 35.0% |
200~300万円未満 | 26.1% |
300~400万円未満 | 12.1% |
400~500万円未満 | 5.3% |
500万円以上 | 4.6% |
援助額平均 | 192.4万円 |
特に注目すべきは、実に83.1%のカップルが100万円以上のご祝儀を受け取っていることです。平均援助額も192.4万円という高額で、多くの場合、各家庭から100万円以上のご祝儀をいただいていることが分かります。
結婚式におけるご祝儀の額は、新郎新婦との関係性や家庭によって異なることも明らかです。
100万円以上のご祝儀でも、非課税
100万円以上のご祝儀を受け取ると、「贈与税は?」や「確定申告が必要なの?」と不安に思うかもしれませんが、結婚の際のご祝儀については、相続税はかかりません。
贈与税に関する規定は「相続税法法令解釈通達 第21条の3《贈与税の非課税財産》(21の3-9)」で明確に規定されており、お祝いの品については「社会通念上相当と認められるものについては、贈与税を課税しない」と明記されています。
法令解釈通達(贈与税)21の3-9(社交上必要と認められる香典等の非課税の取扱い)
「個人から受ける香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物又は見舞い等のための金品で、法律上贈与に該当するものであっても、社交上の必要によるもので贈与者と受贈者との関係等に照らして社会通念上相当と認められるものについては、贈与税を課税しないことに取り扱うものとする。」引用:国税庁
具体的な金額は明文化されていませんが、一般的な感覚から大幅に逸脱しない限り、ご祝儀は贈与税の対象外とされます。
要するに、一般的な金額のご祝儀は安心して受け取れるということです。結婚式におけるご祝儀の贈与税については疑問が解消されたことと思います。
高額なご祝儀へのお返し(内祝い)に関するマナー
100万円以上の高額なご祝儀を受け取った際、礼儀正しい対応は大切です。高額なご祝儀へのお返しについて詳しく検討しましょう。
高額なご祝儀を受け取ると、お返しの心配やマナーが気になることがあります。お返しには慎重な選択が求められますが、その際に知っておきたいポイントをご紹介します。感謝の気持ちをしっかり伝えながら、高額なご祝儀に対する適切なお返しを考える手助けにしてください。
内祝いとは?
ご祝儀のお返しは、内祝いと呼ばれます。
内祝いの「内」は、自分の家や身内という意味で、「祝い」は、お祝いという意味です。つまり、内祝いは、自分の家で起きたおめでたいことを、周囲の人に報告し、その喜びを分かち合うという意味があります。
ご祝儀は、新郎新婦の結婚を祝うために贈られるものです。そのため、ご祝儀をいただいた場合には、内祝いを贈ることで、新郎新婦がご祝儀をいただいた感謝の気持ちを伝えることができます。
内祝いの相場は、いただいたご祝儀の3~5割程度です。ただし、相手との関係性やご祝儀の金額によっても変わってきます。
内祝いの品物は、相手が喜んでもらえるものを選びましょう。具体的には、以下のようなものがおすすめです。
- 食べ物や飲み物
- 日用品
- 家電製品
- 雑貨
- 旅行券
内祝いを贈る際には、以下の点に注意しましょう。
- 相手との関係性やご祝儀の金額を考慮して、適切な金額のお返しをしましょう。
- 結婚式から1ヶ月以内にお返しをしましょう。
- 相手の好みや生活スタイルに合ったものを選びましょう。
- 高級感のあるものを選びましょう。
- 熨斗は水引が結び切りの10本、表書きが「寿」または「内祝」にしましょう。
- お礼状を添えて、お祝いの気持ちを伝えましょう。
内祝いは、おめでたいことがあったときに、お祝いをいただいた方々に喜んでもらえる大切な贈り物です。心のこもった内祝いを贈ることで、お祝いをいただいた方々に喜んでもらえるでしょう。
なお、内祝いは、ご祝儀だけでなく、出産や新築など、他のおめでたいことがあったときにも贈られることがあります。
ご祝儀に対するお返しの相場は?
高額なご祝儀をもらった場合、お返しはどのようにしたらよいのでしょうか。
高額なご祝儀のお返しの相場は?
高額なご祝儀のお返しの相場は、いただいたご祝儀の3~5割程度です。また、お返しは半返しが基本ともいわれます。ただし、相手との関係性やご祝儀の金額によっても変わってきます。
- 親族からのご祝儀
親族からのご祝儀は、結婚式の費用や新生活の準備に充てられることが多いため、半返し程度でよいでしょう。
- 友人や職場の人からのご祝儀
友人や職場の人からのご祝儀は、お祝いの気持ちとしていただいたものなので、3~5割程度のお返しをするのが一般的です。
高額なご祝儀のお返しのタイミングは?
高額なご祝儀のお返しは、結婚式から1ヶ月以内に送るのがマナーです。
高額なご祝儀のお返しの品物は?
高額なご祝儀のお返しの品物は、相手が喜んでもらえるものを選びましょう。
- 相手の好みや生活スタイルに合ったもの
- 新生活に役立つもの
- 高級感のあるもの
具体的には、以下のような品物がおすすめです。
- 食べ物や飲み物
- 日用品
- 家電製品
- 雑貨
- 旅行券
高額なご祝儀のお返しの熨斗は?
高額なご祝儀のお返しの熨斗は、水引が結び切りの10本、表書きが「寿」または「内祝」です。
高額なご祝儀のお返しのお礼状は?
高額なご祝儀のお返しには、お礼状を添えるのがマナーです。お礼状には、以下の内容を記載しましょう。
- ご祝儀をいただいたことへのお礼
- お返しの品物を選んだ理由
- 今後の付き合いへの感謝の気持ち
高額なご祝儀のお返しの注意点は?
高額なご祝儀のお返しには、以下の点に注意しましょう。
- 相手との関係性やご祝儀の金額を考慮して、適切な金額のお返しをしましょう。
- 結婚式から1ヶ月以内にお返しをしましょう。
- 相手の好みや生活スタイルに合ったものを選びましょう。
- 高級感のあるものを選びましょう。
- 熨斗は水引が結び切りの10本、表書きが「寿」または「内祝」にしましょう。
- お礼状を添えて、お祝いの気持ちを伝えましょう。
高額なご祝儀をもらった場合、お返しの金額や品物に迷うこともあるでしょう。しかし、上記のマナーを参考にすれば、失礼のないお返しができるはずです。
高額なご祝儀をいただいた方へのお返し
高額なご祝儀をいただいた方へのお返しは、以下の点に注意して行いましょう。
相場は3~5割程度
高額なご祝儀をいただいた場合でも、お返しの相場は3~5割程度です。親族からのご祝儀の場合は、半返し程度でよいでしょう。
結婚式から14ヶ月以内
お返しは、結婚式から1ヶ月以内に贈るのがマナーです。
相手の好みや生活スタイルに合ったもの
お返しの品物は、相手の好みや生活スタイルに合ったものを選びましょう。
高級感のあるもの
お返しは、高級感のあるものを選びましょう。
熨斗は水引が結び切りの10本、表書きは「寿」または「内祝」
熨斗は、水引が結び切りの10本、表書きは「寿」または「内祝」にしましょう。
お礼状を添える
お返しには、お礼状を添えて、お祝いの気持ちを伝えましょう。
具体的な品物としては、以下のようなものがおすすめです。
食べ物や飲み物
- 高級食材:国産牛肉、ブランド豚、高級海鮮など
- 銘菓:有名な和菓子や洋菓子
- ワインやお酒:高級ワイン、日本酒、焼酎など
日用品
- 高級ブランドの食器や調理器具:ル・クルーゼ、ティファニー、バーバリーなど
- 家電製品:高級テレビ、冷蔵庫、洗濯機など
雑貨
- インテリア雑貨:高級ブランドの雑貨、アート作品など
- ブランド品:ブランドバッグ、時計、アクセサリーなど
- 旅行券:国内旅行、海外旅行など
高額なご祝儀をいただいた場合、お返しの金額や品物に迷うこともあるでしょう。しかし、上記のマナーを参考にすれば、失礼のないお返しができるとはずです。
なお、親族からのご祝儀の場合は、お返しを半返しにする場合もあります。その場合は、相手の好みや生活スタイルに合ったものを選び、高級感のあるものを選ぶようにしましょう。
結婚祝いに親や祖父母から100万円を頂いたときのお返しや確定申告は:まとめ
結婚祝いに親や祖父母から100万円を頂いた場合、確定申告やお返しについての心配は必要ありません。日本の税法において、結婚祝いや贈与によってもらったお金は一般的に課税対象ではありません。ですから、ご祝儀を受け取った場合でも、確定申告する必要はありません。
お返しについては、感謝の気持ちを伝える手紙や贈り物、あるいは記念品を用意することが一般的です。心からの感謝の気持ちを伝え、お祝いを受けたご家族には感謝の気持ちとして失礼のないお返しをすべきです。
結婚祝いで頂いたご祝儀は、お世話になった親や祖父母からの温かい祝福ですから、安心して受け取り、感謝の気持ちを大切にしましょう。