種子の中の養分庫『胚乳』

種子の中の養分庫『胚乳』

胚乳とは？

-胚乳とは？-

胚乳は種子の中にある胚を栄養するために蓄えられた養分庫です。胚は、発芽して新しい植物体に成長するための幼い植物です。胚乳は種子の主要な貯蔵組織であり、脂肪、タンパク質、デンプンなどの栄養を豊富に含んでいます。これらは、発芽時に胚が成長するのに必要なエネルギーと栄養素を提供します。

胚乳は、種子の発芽率や耐久性に影響を与える重要な要素でもあります。胚乳の栄養価が高ければ高いほど、胚の発芽率も高くなります。また、胚乳が厚く、硬い種皮に覆われている種子は、厳しい環境条件下でも長く生き残ることができます。

胚乳の役割

胚乳の役割は、種子の発育と発芽に不可欠です。胚乳は種皮の内側に位置する組織であり、でんぷん、タンパク質、脂質などの栄養素を豊富に蓄えています。これらの栄養素は、発芽時に幼植物の成長に必要なエネルギー源として役立ちます。

胚乳は、胚珠の胚嚢の組織が栄養組織に発達したもので、受精後の胚珠で形成されます。胚乳は、胚の成長に十分な栄養を供給するとともに、発芽時の外部環境の変化から胚を保護する役割も果たします。

胚乳の構造

胚乳の構造は、種子の種類によって大きく異なります。単子葉植物の胚乳は、通常、均質で、デンプンやタンパク質などの養分を貯蔵する細胞で構成されています。一方、双子葉植物の胚乳は、より複合的で、タンパク質が中心部、デンプンが周囲部に分布する傾向があります。また、双子葉植物の胚乳には、タンパク質やフィチン酸などの貯蔵物質を蓄積する特殊な細胞層が存在する場合があります。これらの構造的な違いは、種子が発芽したときに胚に養分を供給する際の胚乳の機能に影響を与えます。

胚乳の機能

胚乳は種子における養分貯蔵庫であり、胚の発芽に必要な栄養素を提供する重要な役割を果たしています。この栄養素には、デンプン、タンパク質、脂質などがあります。胚乳は、デンプンを糖に変換する酵素を貯蔵しています。そのため、胚が発芽すると、この酵素を利用してデンプンを糖に変換し、エネルギー源として利用することができます。また、胚乳は、胚が成長するために必要なビタミンやミネラルも豊富に含んでいます。

胚乳を含む種子の例

胚乳を含む種子には、大きく分けて3つのタイプがあります。米や小麦などイネ科の種子では、外殻に囲まれた大きな胚乳が種子のほとんどを占めています。トウモロコシや豆などの種子では、胚乳は硬い種皮に包まれており、種子の外側を覆う層となっています。また、アブラナやクルミなどの種子では、胚乳は小さくなり、双葉状の胚が種子の大部分を占めています。