裏面照射型CMOSセンサーとは?メリットと仕組み
師匠!「裏面照射型CMOSセンサー」って何のことですか?なんか難しそうな名前ですね…。
名前は難しそうだけど、仕組みを理解すればそんなに複雑じゃないよ。光をより効率よく取り込むために設計されたセンサーの構造のことで、今はスマートフォンからミラーレスまで幅広く使われている技術なんだ。
普通のCMOSセンサーと何が違うんですか?
従来の構造では光が配線層を通ってから受光部に届くんだけど、裏面照射型は配置を逆にして光が直接受光部に届くようにしているんだ。そのぶん感度が上がって、暗い場所でもきれいに撮れるようになるよ。順番に説明していくね。
裏面照射型CMOSセンサーとは。
「裏面照射型CMOSセンサー」とは、光の取り込み効率を高めるために配線層とフォトダイオードの配置を逆にした撮像センサーの構造です。英語では「BSI(Back-Side Illuminated)センサー」と呼ばれ、高感度・低ノイズ・広ダイナミックレンジの撮影を実現します。
裏面照射型CMOSセンサーとは何か
裏面照射型CMOSセンサーとは、従来のCMOSセンサーの内部構造を改良した撮像センサーです。英語の「Back-Side Illuminated」の頭文字をとって「BSIセンサー」とも呼ばれます。
一般的なCMOSセンサー(表面照射型・FSI)では、光はまず配線層を通過してからフォトダイオード(受光部)に届きます。このとき配線が光の一部を遮るため、受光効率が下がってしまう構造上の弱点がありました。
裏面照射型では、フォトダイオードを光の入射側に配置し、配線層をその裏側に移動させています。これにより光が直接受光部に届き、より多くの光を効率よく取り込めるようになります。
この構造の改良によって、暗所での撮影性能が大幅に向上し、現在ではスマートフォン・コンパクトカメラ・ミラーレスカメラまで幅広く採用されています。
「配置を逆にする」って、具体的にはどういうことですか?
センサーには「光を受け取るフォトダイオード」と「信号を処理する配線層」があるんだ。従来型は光の入り口側に配線層が来ていたんだけど、裏面照射型はそれを文字通り「ひっくり返して」、光の入り口側にフォトダイオードを持ってきた構造になっているんだよ。
あ、だから「裏面」なんですね!シリコン基板の裏から光を当てるってことですか?
そのとおり!シリコン基板の「裏側」から光を照射する構造だから「裏面照射型」と呼ばれているんだ。名前の由来がわかると覚えやすいよね。
表面照射型(FSI)と裏面照射型(BSI)の違い
表面照射型と裏面照射型の構造の違いを整理すると以下のようになります。
| 項目 | 表面照射型(FSI) | 裏面照射型(BSI) |
|---|---|---|
| 光の経路 | 配線層を通過してから受光部へ | 受光部に直接届く |
| 受光効率 | 配線による遮光あり・低め | 遮光なし・高め |
| 暗所性能 | ノイズが出やすい | 低ノイズで高感度 |
| 製造コスト | 比較的低い | やや高い |
| 主な用途 | 低コスト機・一部の産業用途 | スマートフォン・ミラーレス全般 |
受光効率の差が、暗所での画質や高感度撮影時のノイズ量に直結するため、現代のカメラでは裏面照射型が主流となっています。
裏面照射型になると、実際の撮影でどんな良いことがあるんですか?
大きく3つあって、高感度・低ノイズ・広いダイナミックレンジだよ。特にスマートフォンのような小さなセンサーでは効果がより大きく出て、暗い場所でも明るくきれいに撮れるようになるんだ。
デメリットはないんですか?良いことばかりに聞こえちゃって…。
いい質問だね。製造工程が複雑なぶんコストが上がることと、動きの速い被写体を撮ったときに画像が歪む「ローリングシャッター歪み」が出やすいという弱点があるんだ。ただ技術の進化でどちらも改善されてきているよ。
裏面照射型CMOSセンサーのメリット
裏面照射型CMOSセンサーの主なメリットは次の3点です。
① 高感度
光を直接受光部に取り込めるため、少ない光量でも十分な信号を得られます。ISO感度を上げなくても明るい写真が撮りやすくなり、夜景・室内・薄暗いシーンでの撮影性能が大きく向上します。
② 低ノイズ
受光効率が高まることで、信号に対するノイズの比率(S/N比)が改善されます。高ISO時に出やすいザラつきが抑えられ、クリアでシャープな画像が得られます。
③ 広いダイナミックレンジ
明暗差の激しいシーンで、白とびや黒つぶれを起こしにくくなります。逆光の人物撮影や、明るい空と暗い地面が共存する風景写真などで特に効果を発揮します。
裏面照射型CMOSセンサーのデメリット
メリットが大きい一方で、いくつかの課題もあります。
- 製造コストが高い:配線層とフォトダイオードの配置を入れ替える製造工程が複雑なため、表面照射型より製造コストが上がります
- ローリングシャッター歪みが出やすい:センサーの読み出し速度の問題から、動きの速い被写体を撮影すると画像が歪む「ローリングシャッター歪み」が生じる場合があります。後述の積層型センサーはこの課題を大幅に改善しています
- 強光源でのフレアが増える場合がある:構造上、強い点光源に対してフレアが出やすいケースがあります
裏面照射型センサーって、どんなカメラに入っているんですか?
今はスマートフォン・コンデジ・ミラーレスまで幅広く搭載されているよ。特にセンサーが小さいスマートフォンでは暗所性能への効果が大きいから、ほぼ全機種で採用されていると思っていいくらいだね。
「積層型」っていうのも聞いたことがあるんですけど、裏面照射型とは別物ですか?
裏面照射型をさらに進化させたのが積層型だよ。BSIセンサーの裏面に処理回路チップを重ねることで、データの読み出し速度を大幅に高速化した技術なんだ。高速連写や動画性能が求められるハイエンド機に多く採用されているよ。
裏面照射型CMOSセンサーを搭載した主なカメラ・デバイス
裏面照射型CMOSセンサーは現在、以下のような機器に広く採用されています。
| カテゴリ | 採用状況・特徴 |
|---|---|
| スマートフォン | センサーサイズが小さいため受光効率の改善効果が最も大きい。現行モデルのほぼ全機種で採用 |
| コンパクトデジタルカメラ | 小型センサー機種を中心に広く採用。暗所性能の底上げに貢献 |
| ミラーレスカメラ | APS-C・フルサイズ問わず主流。Sony α・Nikon Z・Canon EOS Rシリーズなど |
| ビデオカメラ・シネマカメラ | 高感度と低ノイズが動画撮影でも有効。業務用機でも採用拡大中 |
特にソニーはBSIセンサーの量産化を早期から推進し、現在も多くのカメラ・スマートフォン向けにセンサーを供給しています。
裏面照射型から積層型へ:センサー技術の進化
裏面照射型センサーの登場によって暗所性能は大幅に向上しましたが、さらにその先の技術として「積層型CMOSセンサー(Stacked CMOS)」が登場しています。
積層型はBSIセンサーの裏面に、専用の信号処理チップを重ねた多層構造です。これによってデータの読み出し速度が飛躍的に向上し、次のような恩恵があります。
- 高速連写時のブラックアウト低減
- ローリングシャッター歪みの大幅な抑制
- 4K・8K動画の高フレームレート記録
- AIを活用したリアルタイム画像処理
Sony α9シリーズやNikon Z9などのフラッグシップ機では、この積層型センサーを核として高速撮影性能を実現しています。
センサー技術は「表面照射型→裏面照射型→積層型」という段階で進化しており、今後もさらなる高感度化・高速化・高解像度化が続いていくと考えられています。
センサーの種類って、カメラ選びに関係してくるんですか?
直接的にはあまり気にしなくていいよ。今どきのカメラはほぼBSIセンサー搭載だからね。ただ、暗所や動体撮影に強いカメラを選びたいなら、積層型センサー搭載かどうかをチェックするのは有効だよ。
なるほど〜!スペック表の見方がわかってきた気がします!センサーのことって大事なんですね。
「BSI」「積層型」という言葉が出てきたら、暗所・高速撮影に強いセンサーだと覚えておけば大丈夫だよ。
裏面照射型CMOSセンサーまとめ
- 配線層とフォトダイオードの配置を逆にすることで、光を直接受光部に届ける構造
- メリットは高感度・低ノイズ・広ダイナミックレンジの3点
- デメリットは製造コストの高さとローリングシャッター歪みが出やすい点
- 現在はスマートフォン・コンデジ・ミラーレスまで幅広く採用されている
- さらに進化した「積層型センサー」は読み出し速度を大幅に向上させた次世代技術
- カメラ選びでは「BSI=暗所に強い」「積層型=高速撮影にも強い」と覚えておこう


