《薬の問題点》薬が効くまでの時間は? 効果が出るまでの時間と薬が効く仕組み【現役 薬剤師が語る】

薬を飲むときに「飲んでどのくらいで効いてくれるのだろうか」と感じたことがあると思います。

できるだけ早く効いてくれた方が、早く楽になれますよね。

実は、薬によって効き目が出る時間は大きく異なります。

薬の効き目が出るまでの流れと、薬による違いについても紹介するので確認しましょう。

効果が出るまでの時間は、一般的には30分くらい

一般的には、薬の効果が出始めるまでに30分くらいかかります。

例えば、よく使われる薬で「ロキソニン」という解熱鎮痛薬があります。熱が出たときや頭や腰が痛いときに飲んだことがある人もいるのではないでしょうか。

ロキソニンの効果が現れるまでの時間は、販売している製薬会社のホームページで紹介されています。

抜歯後の痛みに対してロキソニンの効果を検討した結果、15分以内に効果があった人は41.2%、30分以内に効果があった人は81.2%でした。(第一三共株式会社ホームページより

つまり、ほとんどの人はロキソニンを飲んで30分以内に痛みが軽くなったと実感しています。

医薬品というと、さきほど紹介したロキソニンのように粒の薬(錠剤)をイメージする人が多いのではないでしょうか。

すべての錠剤に当てはまるわけではありませんが、錠剤はロキソニンのように30分くらいで効果が出始めることが多いです。

薬が効くためには、成分が患部に届く必要がある

薬は飲み込んだ直後に効果が出るわけではありません。薬の効果が得られるためには、薬の中の成分が患部に届く必要があります。

例えば、頭痛の場合は、ロキソニンの錠剤のなかに含まれる成分が頭の中に届かなければ効果は出ません。

多くの薬は口から飲むと、食道→胃→小腸の順に移動し、小腸から体の中に吸収されて、全身を循環します。つまり、口から飲んで患部に届くまでには時間がかかり、その時間が30分程度なのです。

薬によって効果が表れるまでの時間は異なる

では、すべての薬が30分くらいで効き始めるかというと、そうではないです。

実は、日本国内では1万種類以上の薬が販売されています。当然ですが、これらのすべての薬が同じように30分くらいで効き始めるわけではありません。

もっと早くに効き始める薬もありますし、もっとゆっくり効いてくる薬もあります。

例えば、高血圧の治療で使われるアダラートCR錠という薬があります。実際の薬の写真を下に示しています。

この薬の効果が得られるまでの時間は飲んでから約2時間後です(インタビューフォームより)。

薬の効果が早く出る薬の例は、一時的な胸の痛みや圧迫感が現れる狭心症に対して使用されるニトロペンです。

ニトロペンは飲んで1~2分で効果が現れます(インタビューフォームより)。これは、ニトロペンがさきほど紹介した食道→胃→小腸→患部の流れとは異なる流れで患部に到達するからです。

ニトロペンは飲み込むのではなく、口の中(正確には舌の下)で溶かす薬です。こうすることで口の中から体内に吸収されます。

ほかにも、注射薬は直接からだの中に薬を入れるので、飲み薬と比べて効果が出るまでの時間が早いです。

このように、薬によって効果が出るまでの時間は異なります。

薬は指示された飲み方で飲みましょう

薬を飲むときには「少しでも早く効いてほしい」と思いますよね。例えば、頭が痛くて痛み止めを飲むときには、少しでも早く楽になりたいと誰もが考えます。

そのような気持ちもわかりますが、薬を飲むときには医師や薬剤師から説明された方法を守るようにしましょう。

当然ですが、なかなか効果が得られなくても、自分の判断で追加で飲んではいけません。

また、錠剤を潰して飲むとより早く吸収されるのではないかと考えたことはありませんか? これはほとんど効果はありません。

ほとんどの薬は胃の中で形が崩れます。薬が体の中に吸収されるのはその先の小腸なので、薬を飲むときにつぶしたとしても、最終的に吸収されるまでの時間に影響はないです。

むしろ、薬によっては潰してはいけないものもあります。ゆっくりと効かせるために工夫して製造している薬を潰してしまうと、薬が一気に体内に吸収されてしまい、効果が出すぎたり、思いもよらない副作用が現れたりします。

自分の判断で薬を潰さないようにしましょう。

ほかにも、薬によっては指示された飲み方以外で飲むと効果が出ないものもあります。

例えば、骨を丈夫にする薬のフォサマックは、起床時に服用しなければなりません。下の写真はフォサマックです。

これは、起床時の胃の中に何も入っていないときに飲むという意味です。フォサマックは食事と混ざってしまうと、体の中にほぼ吸収されなくなってしまいます。

そのため、食後や食事の直前に飲んでしまうと、胃の中で薬と食べたものが混ざってしまい、効果が得られません。

このように薬によっては飲み方が指定されているものもあります。薬を飲むときには医師、薬剤師から指示された方法・タイミングで飲むことが大切です。