なんでも揃う伏見の台所「伏見大手筋商店街」の歴史

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京都といえば、歴史ある仏教寺院や神社、伝統的な木造家屋で有名ですが、実は約150もの商店街が点在するエリアでもあります。

そんな数ある商店街の中でも、伏見の「伏見大手筋商店街」は、京都でも1,2位を争うほどの人気を誇る商店街として知られています。

本記事では、そんな伏見大手筋商店街の歴史から始まり、商店街の見どころやイベント情報までを詳しくまとめていきます。

伏見大手筋商店街とは?

京都の伏見に位置する伏見大手筋商店街は、伏見の観光スポット伏見桃山城の大手門に続くアーケード商店街です。100年もの歴史を誇り、今なお伏見の地元の人々に愛される商店街として、活気にあふれています。

この商店街の魅力の一つは、幅6m、長さ400mにも及ぶ広大なアーケード。京阪本線伏見桃山駅と隣接し、近鉄京都線桃山御陵前駅も徒歩圏内にあるため、アクセスが非常に便利です。そのため、単なる商店街としての役割にとどまらず、通勤や通学路としても機能し、朝晩を問わず多くの人々がこのアーケードを行き交うことでも知られています。

さらに、毎年7月には「夏の夜市」、10月には「花傘パレード」、11月には「清酒まつり」など、季節ごとに楽しめるイベントも開催。周辺には御香宮神社や寺田屋、大倉記念館、十石舟の運行など多くの史跡や観光資源もあり、「伏見の観光巡りの入り口」として多くの観光客も訪れています。

伏見大手筋商店街の歴史

伏見にある伏見大手筋商店街は、正式に「商店街」として形成されたのはちょうど100年前の大正12年(1923年)とされています。

しかし、「大手筋」としての歴史は非常に古く、その始まりは豊臣秀吉の時代にまで遡ります。文禄3年(1594年)、豊臣秀吉は伏見城築城により、大手広庭と呼ばれる庭を作りました。その表門にあたる大手門に続く道として作られたのが「大手筋通り」です。

その後、人口の増加や交通の発達、酒造業などの発展などによって、通行者が激増したことから、この大手筋通りを「商店街」として発展を目指す動きが活発化します。そして、大正12年、多くの寄付金によって「すずらん灯」と呼ばれる街路灯が約30基設置され、この時「伏見大手筋商店街」として形成されることになりました。

それからは、大手筋商店街では商店街の繁栄を目指すために、繁栄会が結成され、昭和46年には電動開閉式のアーケードが完成。2009年には、日本の中小企業庁が選定した「新・がんばる商店街77選」にも選ばれ、さらなる発展を続けています。

伏見大手筋商店街の見どころ

歴史ある街並みや伝統的な雰囲気、そして活気に満ちた賑わい。

京都の中でも特に魅力的な商店街の一つである伏見大手筋商店街は、訪れる人々を魅了するさまざまな見どころも詰まっています。

商店街の名物「からくり時計塔」

伏見大手商店街の見どころの一つに挙げられるのが、からくり時計の「おやかまっさん」。京阪伏見桃山駅西口近くの近畿労働金庫の上に設置されており、商店街の名物として有名です。

通常は、宇治川派流船の酒蔵が描かれた扉が閉まった状態ですが、午後1時〜7時の毎正時(00分)になると、音楽と共に扉が開き、からくりが発動します。扉の中には、11枚のパネルが配置されており、各パネルに動くキャラクター人形の姿を見ることができます。

千利休、豊臣秀吉、牛若丸をはじめ、伏見にゆかりのある様々なキャラクター人形が登場するとのことなので、ぜひその目で確かめにきてみてください。

100を超える店舗数

令和3年度に行われた、中小企業庁の商店街実態調査によると、「1商店街あたりの店舗数」は51店舗とされています。一方で、伏見大手筋商店街は、その2倍上にあたる約120もの店舗が軒を連ねているとされています。

お店の種類では、日用品・衣料品店はもちろんのこと、金融機関や不動産、コンビニなどが立ち並んでおり、まさにここだけでなんでも揃う「伏見の台所」と呼ぶにふさわしい充実ぶり。最近では、チェーン店も進出し、おしゃれなカフェや居酒屋など、若い世代を魅力する店舗が増えているのも特徴です。

しかしながら、この商店街が特に魅力的なのは、老舗玩具店の「トリズかめた」や慶応元年から続く「七條甘春堂」といった昔ながらの老舗がしっかりと根付いているところです。このような「古い部分と新しい部分」が見事に調和し合っている点が、伏見大手筋商店街が京都随一の人気を誇る理由の一つだと言えます。

ソーラーアーケード

昭和46年に完成した電動開閉式アーケードから、「365日、晴れの商店街」として賑わいを見せてきた伏見大手筋商店街。平成9年には、総工費12億円をかけて、日本初のソーラーアーケードとして生まれ変わりました。

このソーラーアーケードには、天井に畳160枚分の太陽光発電パネルが敷き詰められており、1時間あたり最大30kwの発電が可能となっています。発電した電気は、アーケード内の照明や空調、放送など商店街のあらゆる設備に利用されており、余剰電力は電力会社に売却されているとのことです。

さらに、ソーラーアーケード完成時には、以前より屋根の高さを3mほどあげたことで、より開放感が増したとされています。天候に左右されることなく、空調設備によって夏場でも涼しく、開放感も抜群。まさに、お買い物に最適な環境が整った商店街と言えるでしょう。

恒例のイベントも開催

伏見大手筋商店街では、地元の人々はもちろん、観光客も一緒に楽しめる魅力的なイベントも開催されています。

7月:夏の夜市

夏の夜市は、毎年7月末に、伏見の主要な商店街が集まり、合同で開催される夏の恒例イベントです。大手筋商店街・納屋町商店街・竜馬通り商店街を中心とした一帯の商店街で開催され、飲食の屋台が立ち並ぶ商店街でグルメな一日を楽しむことができます。また、バスケットボールやストラックアウト、パターゴルフなど子どもたちが喜ぶ、様々なゲームコーナーも用意されるため、家族連れでも充実した時間を過ごすことができるでしょう。

10月:花傘パレード

花傘パレードは、洛南最大の秋祭りとして知られる御香宮神社の「神幸祭」の日に行われる特別なパレードです。パレードは、神幸祭の初日と8日目に行われる伝統神事「花傘総参宮」で見ることができ、各氏子地区から出た華やかな花傘20数基が、夜の大手筋を練り歩きます。

また、この花傘は、600年以上もの歴史を持つ室町時代の「風流傘」を再現したもので、鮮やかで派手な装飾が特徴です。一目見るだけで目を引く美しさと華やかさがあり、地元の人々や観光客を魅了しています。大小様々な花傘が「アラウンヨイヨイ、アラウントマカセ」という独特な掛け声と共に巡行する様子は、一度見てみる価値があります。

11月:伏見の清酒まつり

伏見の清酒まつりは、伏見大手筋商店街の秋の風物詩と呼べる恒例イベントです。黄桜、月桂冠、松本酒造など伏見を代表する17の酒蔵が商店街に集い、自慢の日本酒を提供します。商店街には、「伏見のソウルフード」を用意した特設ブースも設置し、日本酒に合うアテと共にお酒を楽しむことが可能。酒蔵山本本家が運営する「鳥せい」や、寿司の名店「京料理:松廣」など、商店街以外からの特別出店もあり、非常に豪華な清酒まつりとなっています。

まつりの参加方法には、前売りと当日の2つの方法がありますが、大人気イベントですぐに売り切れが予想されるため、早めにオンラインでチケットを購入しておくのがおすすめです。

伏見大手筋商店街から続く「納屋町商店街&龍馬通り商店街」

伏見の町の中心を貫く大手筋商店街には、納屋町商店街や龍馬通りなど歴史ある商店街がいくつも連なり、洛南で最大の商業地区を形成しています。

以下では、納屋町商店街と龍馬通りについてご紹介します。

納屋町商店街

伏見桃山の納屋町商店街は、豊臣秀吉が伏見城を築城した際に、城下町として生まれた商店街です。京阪線伏見桃山駅からやや西へ歩いた先にあるアーケードは、伏見大手筋商店街と直角に隣接しています。

商店街は、パリのアーケード「パッサージュ」をイメージしてデザインされたおしゃれな雰囲気が漂っており、愛称として「パッサージュ納屋町五番街」という名も付けられています。

道幅はやや狭く、規模も大手筋商店街に比べると小さいものの、古くから続く老舗の「ササキパン」やプラモデル専門店、占い店など、個性的なお店が立ち並びます。そのため、いつ訪れても新しい発見があり、飽きることのない魅力的な商店街として地元の人々に親しまれています。

龍馬通り商店街

龍馬通り商店街は、幕末の土佐藩士「坂本龍馬」の名前を冠した商店街です。もともとは「南納屋商店街」として知られていましたが、観光型商店街を目指す一環として、1994年に現在の名前へと改称されました。

商店街は、濠川の蓬莱橋から北へ約130mほど続き、街中には京町家風の建物や石畳、ガス灯風街路灯が設置されており、京の風情とレトロな懐かしさを感じさせてくれます。

約30店舗が軒を連ねる商店街には、昔ながらの老舗飲食店が続く一方で、近年はおしゃれなカフェやバーも増え、グルメストリートとしての顔も持ち始めています。商店街のすぐ近くには、坂本龍馬が襲撃された悲劇の場所と知られる「寺田屋」もあり、常に観光客で賑わっています。

伏見大手筋商店街の概要

通称名称伏見大手筋商店街
住所京都府京都市伏見区伯耆町10
電話番号075-601-0558
営業時間24時間営業
アクセス​​​​​​近鉄京都線桃山御陵前駅下車、徒歩約5分京阪電鉄本線伏見桃山駅下車、徒歩すぐ

まとめ

今回は、京都で随一の人気を誇る伏見の伏見大手筋商店街についてご紹介しました。

伏見大手筋商店街は、ただ地元の人々が買い物をする場として機能するだけではなく、観光客が伏見の魅力を味わうこともできる商店街です。

京都・伏見の食文化、歴史、活気をまとめて感じられる贅沢な商店街ですので、ぜひ足を運んでみてください。