《病院薬剤師》に転職する!メリット・デメリットと後悔しない求人選び(秘)【現役 薬剤師が語る】      

病院薬剤師は、病院内で働くさまざまな職種と協力して医療を提供します。

調剤薬局と病院では、仕事内容だけでなく、働き方や条件が違います。どのような違いがあるのかを知ったうえで転職しなければ、転職後の後悔につながりかねません。

ここでは、薬剤師が病院に転職するときのメリット・デメリットと、転職の失敗を防ぐための方法を解説します。

病院薬剤師に転職するメリット

病院薬剤師に転職するメリットは以下の3点があります。

  1. チーム医療を経験できる
  2. 高い専門性や知識を習得できる
  3. 患者とより深く関われる

病院では調剤薬局では経験できないような業務ができたり、患者さんとのかかわりが持てたりします。

チーム医療を経験できる

最初のメリットは「チーム医療」を経験できることです。具体的には、医師、看護師などのさまざまな医療専門職と一緒に患者さんのことを話し合い、治療に関わることができます。

例えば、以下のような相談を受けることは日常的にあります。

【医師より】

この患者さんの腎機能だったらどの抗生剤を使用するのがよいか。そして減量する必要はあるか

【看護師より】

患者さんが薬をそのまま飲み込むことができないけど、錠剤を粉砕してもよいか

【理学療法士より】

最近患者さんの覚醒が悪い。薬が新たに追加になっているようだが、薬の影響はないか。

このような質問に回答して、患者さんの治療に貢献します。

また、病院によっては「栄養サポートチーム(NST)」「感染症対策チーム(ICT)」を組んでいることがあります。これらのチームは薬剤師を含む多職種が協力して患者さんの栄養や感染症治療に関わるものです。

病院で働くことで、薬剤師の専門知識を活かして、病院内で働くさまざまな職種と協力して患者さんの治療に関わることができます。

高い専門性や知識を習得できる

病院では主に患者さんの病気の治療を行います。治療で使用する医薬品の種類は、調剤薬局よりも病院の方が種類が多いです。

例えば、ガンの治療をする場合、最初は病院で注射薬による化学療法を受けることが多いです。化学療法の内容は多岐に渡り、用法用量も患者さんごとにアレンジします。病態が落ち着けば内服薬による治療に切り替わり、外来での治療継続となります。

そもそも調剤薬局では注射薬はほとんど扱いません。自己注射をするインスリン注射などがメインで、ほとんどが内服薬や外用薬です。

そのため、触れることができる医薬品の種類は病院の方が圧倒的に多いです。

ほかにも、抗がん剤や高カロリー輸液は、下の写真のようなクリーンベンチでミキシングを実施します。このような無菌調剤を調剤薬局で行うことはありません。

より専門性の高い知識の習得を目指すのであれば、病院の方が環境は整っています。

患者とより深く関われる

病院薬剤師が関わるのは、主に入院患者さんです。入院患者さんの部屋を訪問して薬の話をしたり、入退院の時に患者さんや家族に薬の説明をしたりします。

病院薬剤師が患者さんと話をするときには、カルテの情報を事前に確認します。その段階で、薬歴だけでなく既往歴、検査結果、画像データなどもチェックできます。

例えば下の画像は血液検査の結果です。

薬の影響で検査結果が悪化していないかを確認することで、患者さんの治療や薬物選択に貢献できます。

これらの情報を基に患者さんと薬の話ができるので、より深く関わることが可能です。

病院薬剤師への転職前に知っておきたいデメリット

病院薬剤師に転職することは、メリットばかりではありません。デメリットもあります。

転職後に後悔しないためにも、デメリットもしっかりと把握して転職しましょう。

給料が下がる可能性が高い

同じエリア内で比較した時に、ほとんどの場合、病院薬剤師の給料よりも調剤薬局の薬剤師の方が給料が高いです。

下に2つの求人を紹介します。この2つの求人は、病院から出されている求人と、その門前薬局から出されている求人です。

1件目は病院から出されている求人で、提示されている月給は28万円~30万円です。

ボーナスが4カ月分だとすると、年収としては448万円~480万円です。

一方でこの病院の門前薬局から出されている薬局の求人は下の図です。提示されている年収は500万円と、病院よりも高いことが分かります。

もし調剤薬局から病院に転職する場合は、給料が下がる可能性が高いことを認識しておきましょう。

夜勤・当直によりプライベートが犠牲になりやすい

病院の規模が大きくなると夜勤や当直に入ることがあります。

当然ですが、夜勤や当直の日はお酒は飲めませんし、友人と遊びに出かけることもできません。

当直では寝れることも多いですが、普通は自宅で寝ている時間に職場に拘束されるというストレスはあります。普段とは違う場所で寝ても熟睡は難しいです。そのため、生活のリズムが狂ってしまうこともあります。

病院の規模が小さければ、必要時だけ呼び出されるオンコール対応の病院がほとんどです。オンコール対応では呼ばれた時だけ対応すればよく、プライベートが犠牲になることはほとんどありません。

夜勤や当直に入ると、手当がつくので、その分給料の手取りは多くなります。つまり、極端な話ですが、お金をとるかプライベートをとるかです。転職者の価値観によって夜勤・当直はデメリットではなくメリットになる可能性もあります。

必ず職場見学をしよう

病院に転職を考えているのであれば、転職候補先の病院の見学には必ず行きましょう。なぜなら、事前に職場環境や業務内容について確認しておくことで、転職後の後悔を避けやすくなるからです。

例えば、以下のような点は確認しておくとよいでしょう。

  • カルテが紙カルテか電子カルテか
  • 分包機のスペック
  • 医師、看護師とのかかわり方
  • 残業時間
  • オンコール対応の場合の呼ばれる頻度

例えば、オンコール対応でほぼ毎日のように夜中に病院から連絡が入るようであれば、まともに寝れないですよね。一方で、病院からの連絡が2,3カ月に1回くらいしかないのであれば、気にせずに寝れますよね。

あなたが転職を考えている病院のオンコール対応の頻度は、直接働いている人に質問しないとわかりません。

実際に現場で働いている薬剤師と話ができれば、転職後の働き方をイメージしやすくなります。もし、見学をして「この病院では働かない方がいいかな」と感じれば、断っても問題ありません。

事前に見学をして情報収集を行い、転職後に後悔しないようにしましょう