睡眠導入剤は寝やすくするための薬です。そのため、眠りにつく前に服用することは説明されなくても想像できると思います。
では、寝るどのくらい前に服用すればよいかはわかりますか?もし夕食後に何かしらの薬を飲んでいる人は、その薬と一緒に睡眠導入剤も服用してもよいでしょうか?
ここでは、睡眠導入剤を服用する適切なタイミングと、服用した後の注意点についてくわしく解説します。
睡眠導入剤は寝る30分前に飲む
結論をいうと、睡眠導入剤は「寝る30分前くらい」に服用します。
例えば、病院でよく処方される睡眠導入剤の1つに下の写真のマイスリー錠があります。
マイスリーの説明書(正確には添付文書)には、飲み方が下のように「寝る直前」に服用するよう記載されています。
寝る時間は人によって違います。21時頃寝る人もいれば、24時頃に寝る人もいます。睡眠導入剤は決まった時間に服用するのではなく、寝る直前に服用する薬です。
そして、睡眠導入剤は服用して10分~30分で効果が現れるものが多いです。
先ほど紹介したマイスリーが服用してどのくらいで体内に吸収されて、どのくらいで効果がなくなるかを示したものが、下のグラフです。
このグラフの縦軸は、体内に入った薬の量(正確には血液中の薬の濃度)を示しています。
飲んでから1時間ちょっとで効果が最大になることが分かります。そして、服用後30分でもすでに体内に吸収されていますよね。
ほかの睡眠導入剤も効果が現れるまでの時間はほとんど同じです。そのため、服用してから30分あれば効果を実感できます。
夕食後に服用すると効果が弱くなる薬もある
睡眠導入剤を飲んでいる人の中には「晩御飯を食べたらすぐに寝る」という人もいるかもしれません。注意しなければならないのは、睡眠導入剤によっては、夕食後に服用してしまうと効果が弱くなるものもあります。
下に紹介するロゼレムは、睡眠のリズムを調整することで寝やすくする薬です。
ロゼレムの説明書には、服用するタイミングについて以下のように記載されています。
就寝前に服用しなければなりませんが、食事と同時や食直後の服用は避ける必要があります。その理由は、血液中の薬の濃度が低下することがあるためです。
つまり、夕食後にロゼレムを服用すると、本来の効果を十分に得られない可能性があります。
このように睡眠導入剤によっては、飲み方に特徴があるものもあります。正しい服用方法については薬剤師に確認するようにしましょう。
睡眠導入剤を飲んだ後の注意点
睡眠導入剤を寝る30分前に飲んでも、そのあとの行動によっては効果が得られない可能性があります。
ここからは、睡眠導入剤を飲んだ後の注意点についてくわしく解説します。
布団に入り寝る態勢になる
睡眠導入剤を飲んだら、すぐに寝る態勢になりましょう。具体的には布団に入り、部屋の電気を消します。
せっかく薬の効果が現れ始めても、活動をしていたり、光などの外部からの刺激があると、体は興奮状態のため眠気を感じにくいです。
寝る前にスマホを操作している人も止めた方がいいです。スマホの光や映像を見ることで脳の興奮状態が続いてしまい、寝にくくなってしまいます。
睡眠導入剤を服用したら、布団に入り、寝る態勢に入りましょう。
寝れなくても追加で服用しない
寝る態勢になってもなかなか寝れないことってありますよね。そのような場合でも、睡眠導入剤を追加で服用してはいけません。これは、副作用が強く現れる可能性があるからです。
睡眠導入剤の副作用で代表的なものは、中途覚醒時のふらつきや、翌日への持越しです。
薬は医師の指示に従って、決められた量を決められた方法で飲まなければなりません。
また、薬を飲む人の年齢や体格によって薬の量が決められているものもあります。特に高齢者は体全体の機能が若い人に比べて低下しているので、薬の量が少なめに設定されていることがあります。
医師があえて量を減らして処方していることもあるので、自己判断で追加で服用しないようにしましょう。
中途覚醒した時に追加で服用しない
寝れないときと同じように、夜中に起きて再び寝ようとするときに追加で睡眠導入剤を服用してはいけません。これも、副作用が現れやすくなるからです。
一度起きると、なかなか入眠できず、追加で睡眠導入剤を服用したくなる気持ちもわかります。ただ、夜中にもう一度睡眠導入剤を服用すると、翌朝まで効果が残ってしまう可能性が高いです。
睡眠導入剤は適切なタイミングで服用して正しく使いましょう
睡眠導入剤は、寝る直前に服用する薬です。薬によっては夕食後に服用すると効果が弱くなってしまうものもあるので、服用方法が気になる人は薬剤師に確認しましょう。
正しいタイミングで睡眠導入剤を服用しても、その後の行動によっては効果がほとんど得られなかったり、副作用が強く現れたりすることがあります。
睡眠導入剤を服用したら、すぐに寝れる態勢になって、寝るための準備をしましょう。寝れなくても追加で睡眠導入剤を服用してはいけません。