部屋が散らからない人の
5つの工夫
── 片付け上手より「仕組み上手」
「ちゃんと片付けなきゃ」と思っているのに、
気づけば机の上が物でいっぱい。
でも、部屋が散らからない人を観察すると、
意外な共通点があります。
それは、
頑張っていないということ。
気合いではなく、
仕組みで回しています。
今日はその5つを紹介します。
“一時置き場”をつくらない
散らかりの始まりは、「とりあえずここに置く」から始まります。
玄関に帰ってきて、カバンをとりあえず椅子に置く。
脱いだ上着を、とりあえずソファの背にかける。
使いかけのものを、とりあえずテーブルの隅に置く。
この「とりあえず」が積み重なって、部屋は散らかっていきます。
部屋が散らからない人は、”仮置きスペース”をつくりません。
玄関、テーブル、椅子の背もたれ。ここが物の停留所になりやすい場所です。
- 帰宅後の動線上に定位置をつくる
- 「置く」より「しまう」を優先する
たとえば、玄関を入ってすぐのところにフックを一本つけます。上着はそこに。カギもそこに。「考えなくてもそこに戻せる」場所を作ることが大切です。
遠いと、脳は近道を選びます。
人間の脳は、面倒を避けるようにできています。クローゼットが廊下の奥にあるなら、上着はソファに落ちます。引き出しが立ち上がらないと開けられないなら、物は机に積まれていきます。
「しまう」という行動が、「置く」より2秒以内に終わるなら、人は自然としまうようになります。動線設計とは、サボりたい自分を味方につける設計です。
「戻す場所がない」のではなく、「戻す場所が遠すぎる」のが問題であることが多いです。一度、自分が物を置きがちな場所を観察してみてください。そこに定位置をつくるだけで、散らかりの9割は防ぐことができます。
「収納力」より「持ち物の量」を管理する
散らかる人は収納を増やします。散らからない人は物を減らします。
この違いは、問題の捉え方が根本から違います。
「収納が足りないから散らかる」と考えると、人は収納グッズを買いに走ります。100円ショップで整理ボックスを買い、ニトリで棚を買い足し、押し入れにラックを増設する。でも、これは問題を先送りしているだけです。
どんな収納術も意味がありません。
コップに水を注ぐとき、コップが小さければあふれます。コップを大きくするか、水を減らすか。散らかる人はコップを大きくし続けます。散らからない人は水の量を管理します。
- 「今すぐ必要?」
- 「1年以内に使った?」
答えがNOなら、手放し候補です。
ここでよく生まれる迷いが「いつか使うかもしれない」という考えです。この「いつか」は、統計的にほぼ来ません。物は「今の自分の生活」を支えるためにあるべきで、「未来の仮定の自分」のために場所を取るべきではないのです。
手放すことへの罪悪感を感じる人も多いです。でも、使われない物は機能していない物です。誰かに使ってもらえる場所に移動させることは、物にとっても良いことだと考えてみてください。
また、物を減らすときに効果的なのが「1 in 1 out ルール」です。何か新しい物を買ったら、同じカテゴリから1つ手放す。このルールを守るだけで、物の総量は増えません。
土台が崩れていれば、どんなテクニックも砂の上の城です。
1日1リセットを習慣化
散らからない人は、”溜めません”。
週末にまとめて片付ける、ではなく、毎日少しずつ整える。この違いが、長期的に大きな差を生みます。
それだけ。
重要なのは時間ではなく、頻度です。
3分と聞くと少なすぎると感じるかもしれません。でも、毎日散らかる量は、毎日3分で十分対処できます。逆に言えば、毎日3分を怠ると、週末には30分の作業が積み上がります。そしてその30分が億劫で、また先送りにする。散らかりはこうして雪だるま式に悪化していきます。
- テーブルの上を拭いて定位置に戻す
- 出しっぱなしの文房具を引き出しに収める
- 脱ぎっぱなしの服をかける
- 使ったコップをシンクに運ぶ
たったこれだけで、部屋の印象は劇的に変わります。
心理学では、人は「一貫性」を保とうとする性質があります。毎日整える習慣がつくと、「私は整える人」という自己イメージが育ちます。そのイメージを守りたいから、散らかりかけた瞬間に小さな抵抗感が生まれます。
これが最強の防衛機能です。
習慣化のコツは、既存の習慣に紐づけることです。「歯を磨いたら、その流れで洗面台を整える」「寝る前にスマホを充電しながら、テーブルを片付ける」。この「〇〇のあとに△△する」という設計が、新しい習慣を定着させる最も確実な方法です。
「完璧」を目指さない
散らかる人ほど、理想が高いです。だから動けません。
- 「どうせやるなら全部きれいにしたい」
- 「時間がないなら、まとめてやるときまでやらない」
- 「中途半端にやるくらいなら、やらないほうがいい」
この思考パターンが、散らかりを生みます。完璧主義は一見、高い基準を持つ良いことのように見えます。でも実際は、「できない言い訳を常に持っている状態」でもあります。
80点で止めます。
クッションが多少ズレていてもOK。本が少し斜めでもOK。引き出しが完璧に整理されていなくてもOK。
大切なのは、「整っていない部分」に気づきながらも、動けることです。完璧主義者は、「全部整えるための時間とエネルギーがないから今日はやめよう」と判断します。ほどほど主義者は、「今できる分だけやろう」と判断します。この差が、毎日積み重なっていきます。
もう一つ、完璧主義が生む罠があります。それは「片付けた後を汚したくない」という心理です。一度完璧に整えると、その状態を維持するプレッシャーが生まれます。ちょっと散らかり始めると「完璧な状態が崩れた」と感じ、モチベーションが一気に落ちてしまいます。
80点のゆるい基準で生きていると、少し散らかっても「まあこんなもの」で動けます。この心理的な余裕が、持続力の源です。
“ほどほど主義”は動きを生む。
迷う物を増やさない
意外だけど、散らかりは”判断疲れ”から生まれます。
「これはどこに置けばいいんだろう」「これ、要るのか要らないのか」「同じようなものが2つあるけど、どっちを使えばいい?」
こういった小さな判断が積み重なると、脳は疲弊します。そして疲れた脳は、判断を先送りにします。先送りにされた物が、床に、机に、椅子に積まれていきます。
散らからない人は、この「判断コスト」を徹底的に下げています。
- 同じ種類の物を増やさない(上限を決める)
- 色やデザインを統一する
- 「とりあえず買い」をしない
決断コストを下げています。
これはスティーブ・ジョブズが毎日同じ服を着ていた理由にも通じます。「今日何を着るか」という判断を排除することで、重要なことに脳のリソースを使えるようにしていました。部屋の管理も同じ考え方です。
「これをどこに置くか」を考えなくて済む部屋は、見た目が整っているだけでなく、そこにいる人の頭の中も、少し静かにしてくれます。
物が少なく、定位置が明確で、迷う必要がない空間。それが「散らからない部屋」の本質です。

