「守破離」の精神が息づく伏見の老舗「松本酒造」の魅力!

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酒造りのこだわりから代表銘柄まで紹介

日本酒の聖地とも言われる京都の伏見には、数多くの酒蔵が立ち並びます。

その中でも、伏見の横大路に位置する「松本酒造」は、200年以上にわたる歴史と伝統を誇り、酒蔵が掲げるテーマ「守破離(しゅはり)」の精神のもと、本物の酒造りを追求しています。

本記事では、そんな松本酒造の魅力を、酒造りのこだわりからおすすめ銘柄まで、徹底的に解説します。

伏見の酒蔵「松本酒造」

松本酒造は、京都市伏見区に位置する造り酒屋です。創業は寛政3年(1791年)であり、200年以上の歴史を誇る老舗酒蔵として、その伝統を築き上げてきました。

酒造りにおいては、「原料に勝る技術なし」という理念のもと、伏見の良質な伏流水と酒米にこだわり、伝統的な製法と革新的な技術で、飲む人の心に残る本物の酒造りに取り組んでいます。

現在は、先代である父・松本保博さんから引き継がれ、その魂を受け継ぐ2人兄弟が、松本酒造の酒造りを牽引しています。特に、杜氏をつとめる弟・松本日出彦さんは、「醸し人九平次」で知られる醸造所「萬乗醸造」での厳しい3年間の修行を積み、その実力を発揮。2010年には松本酒造の杜氏として迎え入れられ、酒造りの分野での実績と知名度を確立しています。

松本酒造の歴史

松本酒造の歴史は、寛政3年(1791年)に初代・松本治兵衛が京都市東山の八坂弓矢町で「澤屋」という屋号で酒造りを行ったのが始まりとされています。

大正12年には、名水を求めて伏見に「日出盛」の酒造場を増設し、昭和58年には吟醸純米酒「桃の滴」を販売開始。平成10年には原料処理装置の更新を行い、今ある高品質な清酒の安定生産が実現しました。そして、21世紀に向けても、松本酒造はますます酒造技術の向上に努めています。

また、大正時代に京都の伏見に建設された「レンガ煙突や「仕込み蔵」などの施設は、酒造りの発展に寄与し、そして京都・伏見の酒造りの文化を次代に引き継ぐ目的として、「近代化産業遺産」に認定されています。

松本酒造に息づく「守破離」の精神

松本酒造の特徴は、酒蔵に受け継がれる伝統製法を堅守しつつも、常に革新的な酒造りに挑む姿勢にあります。このスタイルは、酒蔵に根付いた「守破離(しゅはり)」という精神が大きな影響を与えています。

「守破離」というのは、本来は剣道や茶道などの修行に関連する言葉で、伝統を守りつつも新しい挑戦を続け、時には既存の枠を打破し、進化し続けることを意味します。この精神が松本酒造の魅力を形作り、その姿勢が数世代にわたり受け継がれているのです。

松本酒造の酒造りのこだわり

酒造りにおいては、「原料に勝る技術なし」という理念のもと、良質な伏流水と厳選された酒米を用いた伝統的な酒造りを行っている松本酒造。

その酒造りのこだわりについて、詳しく解説していきます。

良質な伏流水へのこだわり

かつて「伏水」とも呼ばれた伏見という地域は、古くから良質な地下水が豊富に湧き出る土地として知られています。地下から汲み上げたこの水は、硬度が低く、ミネラルバランスも良いため、日本酒造りに適した水とされています。松本酒造はこの水を、仕込み水として使用することで、松本酒造の酒に独自の風味と品質をもたらしています。

酒米へのこだわり

酒造りにおいて、酒米も欠かせない原料です。松本酒造では、酒米の王と言われる兵庫県産の上質な「山田錦」や富山県砺波平野の「五百万石」を酒米に採用しています。酒造りの工程では、これらお米を大切にし、傷つかないようにするため、ほとんどを手作業で行なっています。この丹精込めたこだわりが、最終的なお酒の出来栄えにも大きく影響していると言えます。

松本酒造のおすすめ代表銘柄3選

以下では、松本酒造が醸す上質な銘柄を3つ紹介します。

ぜひ、試してみてください。

澤屋まつもと 守破離 Ultra

松本酒造の代表銘柄である「澤屋まつもと」。この銘柄は、1791年、初代松本治兵衛が京都で始めた酒造りの際、屋号の「澤屋」と名字の「松本」を組み合わせて生まれました。

そんな澤屋まつもと人気シリーズの一つ「守破離 Ultra」は、兵庫県上東条地域の限定地区で栽培されている山田錦のみで醸した上質な日本酒です。お米の育った場所が別次元という理由から「Ultra」と名付けられたそうです。

爽やかな香りとまろやかに広がる旨味、そして発酵する過程で生まれる自然由来の「ガス感」までを感じさせる、まさに「守破離」を具現化したような新感覚な日本酒です。料理との相性も良いため、食中酒にもピッタリです。

桃の滴 特別純米酒

「桃の滴」は、松尾芭蕉の句「我が衣に伏見の桃の雫せよ」を心得に、松本酒造が心を込めて仕込んだ日本酒です。

「桃の滴 特別純米酒」は、酒米の王様「山田錦」を全量使用して仕込んだ特別純米酒。滑らかな口当たりとふくらみのある旨みが特徴で、冷やしても温めても美味しく楽しめる万能な銘柄です。「桃の滴」シリーズの中でも比較的スタンダードな味わいに仕上がっているため、日本酒が苦手な方や慣れない方でも、無理せずに楽しめる一本です。

日出盛 本醸造

日出盛は、昭和2年に東山区本町から伏見へ移設した際に7代目治平が命名した日本酒です。「旨い酒」「みなにすかれる酒」を肩ラベルに入れ、瓶で売れる酒を目指して作られた銘柄です。

その銘柄の一つ「日出盛 本醸造」は、良質な酒米で丹念に仕込んだ本醸造酒。飲み応えのあるしっかりとした味わいと後味のキレの良さが感じられ、どんな料理でも引き立て役として活躍するお酒として定評があります。

楽しむ際は、味わい、コク、旨みが増すように燗酒するのがおすすめ。燗を加えることで、さらに深みが増し、日出盛の魅力が引き立ちます。

松本酒造の概要

社名松本酒造株式会社
住所京都市伏見区横大路三栖大黒町七
電話番号075-611-1238
アクセス桃山駅下車 西へ徒歩約15分

まとめ

本記事では京都・伏見の老舗酒蔵「松本酒造」の酒造りのこだわりからおすすめの銘柄までまとめました。

酒蔵のテーマである、「守破離」の精神をもとに、伝統的な酒造りの精神を守りながら、新しい技術を取り入れ、新境地を開拓するお酒を今も作り続けています。

伏見の酒屋らしく、酒造りの文化、歴史、伝統、そして風土を守り続けている松本酒造は、京都を代表する魅力の一つでもあるため、ぜひ一度その味を体験してみてください。