【京都・伏見】競馬ファン必見!馬の神様として篤い信仰を集める藤森神社

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平安遷都以前より、伏見の深草の地に鎮座する藤森神社。古来朝廷から武家や庶民に至るまで崇敬の厚い神社として知られており、今では「勝運や馬の神様」として信仰を集めています。

神社の中でも、特に注目を集める伝統行事「駈馬神事」や「駪駪祭」には、馬主をはじめとする、競馬関係者や競馬ファンが大勢参拝しに訪れることでも有名です。

今回は、藤森神社がなぜ「馬」とゆかりが深いのか、その秘密や古来から続く馬の伝統神事についてまとめてご紹介します。

馬の神様の由来:「駈馬(かけうま)神事」

藤森神社が「馬の神様」として信仰を集める理由というのが、今でも神社に続く伝統行事「駈馬神事」にあるとされています。

駈馬神事とは、駆け抜ける馬上で様々な技を披露する神事のことで、今から1,000年以上前の天応元年(781年)に、「早良親王」が藤森神社で戦勝祈願をした様子を模したものとされています。

室町時代や江戸時代には、武士や各地の町民も参加して、本格的に馬上の技を競い合っていたとされますが、江戸時代中期になると大陸からの影響を受けた曲芸的な馬術へと変化してきました。

そして、明治以降になると、藤森神社の人々がこの行事を引き継ぎ、かつて早良親王が戦勝祈願をしたとされる「5月5日」にちなんで、毎年この日にちに「駈馬神事」が行われています。この「駈馬神事」によって藤森神社が「馬の神様」として広く知られるようになりました。

また、1200年以上の歴史を持つこの行事は、昭和58年に京都市の「無形民俗財」にも指定されており、今でも藤森神社と地域の人々によって大切に保存・公開されています。

駈馬神事で披露される7つの技

境内の南門から割拝殿まで続く約200mの参道で行われる駈馬神事は、見事な曲芸の数々が披露されます。その技の緻密さや迫力ある演技は、まるで実際の戦場に立ち向かう勇壮な姿そのものと言えるでしょう。

以下では、神事で実際に披露される、戦場の馬術を再現した7つの技についてご紹介します。

一、手綱潜り:敵の矢が降りしきる中、馬を操りながら走る技。

ニ、逆乗り:馬に乗りながら敵の状況を見極めながら走る技。
三、矢払い:敵の矢を打ち払いながら馬を駆ける技。
四、横乗り:敵の視線をかわして横から馬に乗る技。
五、逆立ち:敵を嘲りながら、駈ける技
六、藤下がり:敵の矢が当たったように見せかけながら馬を操る技。
七、一字書き:前線から後方へ情報を伝えながら馬を走らせる技。

競馬ファンで賑わう駪駪祭(しんしんさい)

藤森神社では、5月に行われる駈馬神事の他にも、11月に駪駪祭(しんしんさい)と呼ばれる馬にまつわる祭典が行われます。

駪駪祭は、「競馬と馬をこよなく愛する人たちのための祭典」として知られ、毎年、多くの競馬ファンが全国から集まります。以前までは、JRAの騎手や関係者の方も参列していたようですが、現在は、ファンだけが参加し、ひっそりと行っているようです。

祭典自体は、20分ほどと短時間で終わる内容ですが、楽人の雅楽演奏もあり、本格的な行事としても楽しむことができます。

さらに、当日参拝された方には、抽選で騎手のサイン色紙がプレゼントされることもあるそうなので、競馬ファンなら是非参列してみる価値ありだと思います。

藤森神社の「馬」に因んだ見どころ

「馬の神社」として知られる藤森神社の境内には、馬や競馬にまつわるものやスポットも点在します。

以下に見どころをまとめて、ご紹介します。

絵馬舎

絵馬舎は宝物館社務所の向かいに位置しています。ここは、神社に奉納された絵馬を飾る場所であり、内部には競馬で活躍した名馬が描かれた絵馬などが展示されています。特に注目すべきは、慶長18年(1613年)に奉納された「黒馬」と「白馬」の2枚の絵馬です。これらの絵馬は、京都下でも最も古い絵馬とされており、その歴史を感じることができるでしょう。

馬の博物館

藤森神社には、古武具が収蔵されている宝物殿に、「馬の博物館」が併設されています。この博物館は、藤森神社が「馬の神様」として知られていることから、宮司が個人的に馬の民芸品やミニチュアなどを集めてその品を展示しているとのことです。展示物では、滋賀県の「小幡人形(おばたでこ)」や地元伏見の「伏見人形」といった郷土玩具と馬がコラボしたもの、さらに中国やネパールの馬の民芸品など、国内外を問わず様々な馬のコレクションを楽しむことができます。

馬みくじ

藤森神社では、お守りや御朱印、お札など様々な授与品が人気を集めていますが、特に注目を浴びているのが「馬みくじ」です。この「馬みくじ」は、馬と深い縁がある神社にちなんだ、愛らしい白馬の中におみくじが入っており、初穂料500円で手に入れることができます。馬といえば、スラッと伸びた四肢に筋肉質な体をイメージするかもしれませんが、この馬みくじの馬は、ふっくらとしたデザインで、なんだか癒される雰囲気があります。その愛らしい姿も人気の理由の一つでしょう。

藤森神社の概要

社名藤森神社
住所​​​​​​京都市伏見区深草鳥居崎町609
電話番号075-641-1045
営業時間9~17時
拝観料境内無料
アクセス​​京阪墨染駅下車徒歩7分JR藤森駅下車徒歩5分

まとめ

伏見の藤森神社は、祭神である早良親王と馬との深い繋がり、そして馬にちなんだ神事や絵馬など、馬との文化を感じられるものが数多く存在します。

藤森神社の歴史や伝統に興味がある人はもちろん、特に競馬ファンなら必見の場所です。

ぜひ一度、藤森神社を訪れて、馬の神様との繋がりを感じてみてはいかがでしょうか。