京都・伏見の風雅を感じる老舗酒蔵「齊藤酒造」の歴史日本酒まとめ|14年連続金賞受賞の清酒「英勲」を生み出した秘密がここに!

洗米・米張(画像提供:SAITO SHUZO co.)

代表銘柄「英勲」の特徴や人気銘柄も紹介 

京都の中でも、伏見は日本酒の名産地として知られています。

その中で特に際立つのが、明治時代から続く老舗酒蔵「齊藤酒造」。

100年以上もの歴史を持つこの酒蔵は、京都の伝統を守り続けており、代表銘柄である「英勲」は、その高い品質と芸術的な醸造技術により、新酒鑑評会で14年連続金賞を受賞しています。

今回は、齊藤酒造の歴史や代表銘柄「英勲」の特徴、そして人気銘柄までを網羅的にご紹介いたします。

齊藤酒造:120年の歴史を持つ京都伏見の老舗酒蔵

齊藤酒造蔵(画像提供:SAITO SHUZO co.)

齊藤酒造は、京都の伏見に蔵を構える老舗の日本酒蔵元です。創業は明治28年(1895年)で、約120年以上にわたる伝統を誇ります。

もともと齊藤家は、元禄時代(1600年代末)の頃から、伏見の地で和服の販売に関わる「呉服商」を営んでいたものの、明治の社会変遷の中で、呉服商から酒造業へと転身するという大きな転機が訪れます。この転機が「齊藤酒造」の誕生につながりました。

創業当時の商標は、「柳正宗」「大鷹」が使われていましたが、大正4年に現在の代表商標である「英勲」となっています。

齊藤酒造はその後、1998年の全国新酒鑑評会から2011年まで、14年連続金賞を受賞するなど、高い評価を得ています。また、インターナショナルワインチャレンジでも金賞を受賞し、その品質の高さが国際的にも認められています。

14年連続金賞受賞の秘密

齊藤酒造のお酒は、その品質の高さが認められて、数々の賞を受賞しています。特に、代表銘柄「英勲」は、全国新酒鑑評会で、14年連続金賞を受賞しています。

14年連続金賞というのは、日本酒の歴史の中でも、類を見ない快挙です。では、なぜ「英勲」は、こんなにも高い評価を得ているのでしょうか?

その真髄に迫りましょう。

京都産原料米へのこだわり:祝米(いわいまい)

麹(画像提供:SAITO SHUZO co.)

「英勲」の原料米としてよく使われているのは、京都産の酒造好適米「祝米(いわいまい)」です。

祝米は、京都の気候や土壌に適した品種で、粒が大きく、粘りが少なく、酵素の働きが良いという特徴があります。ただ、日本酒用のお米と言う割には、精米が非常に難しく扱いづらいとされるのが祝米の特徴。そんなお米を使い続ける理由には、「他県には絶対に真似することができない、京都の味わいを表現したい」という思いがあるからです。

さらに齊藤酒造は、この米の特性を引き出すために、精米歩合を低く設定し、米の心白部分を多く残しています。これにより、「英勲」は、米の旨味を最大限に感じられるお酒に仕上がっているのです。

伏見が誇る名水へのこだわり

お酒の品質には、水の質も大きく影響するものです。齊藤酒造では、敷地内にある井戸から汲み上げた「伏見の地下水」を使用しています。

伏見の地下水というのは、京都の山々から流れる清らかな水が、地層を通して濾過されてできる名水です。この水は、硬度が低く、ミネラルバランスが良く、酒造りに適した水とされています。

齊藤酒造は、この水をそのまま使わずに、さらにろ過や調整を行っています。これにより、「英勲」は、水のクセがなく、すっきりとした後味を楽しめるお酒になっています。

杜氏の技術:南部杜氏(なんぶとうじ)

お酒の品質を決めるのは、やはり人の手です。

齊藤酒造では、「南部杜氏(なんぶとうじ)」と呼ばれる、岩手出身の杜氏たちが酒造りを担っています。「杜氏(とうじ)」とは、酒造りにおける最高責任者のことで、酒造りの工程に目配りして管理する人物です。

南部杜氏は、そんな杜氏達の中でも古くから活躍している杜氏集団で、その技術は高く評価されており、兵庫の「丹波杜氏」、新潟の「越後杜氏」と並び「日本三大杜氏」と称されています。

齊藤酒造で酒造りを担う南部杜氏は、米や水の特性を見極め、最適な麹や酵母を選び、温度や湿度を細かく調整しながら、丁寧に酒造りを行っています。その結果として、齊藤酒造は安定した品質と繊細な味わいを兼ね備えた、質の高いお酒の提供を実現しています。

座右の酒である銘酒「英勲」:特徴や味わいは?

齊藤酒造の代表酒である「英勲」。大正4年に大正天皇の即位にちなんで名付けられたとされる日本酒です。

伏見の日本酒というものは、おいしさが新酒の頃から感じられ、年月が経つにつれてさらに上品な味わいになるのが特徴。その中でも伏見の自然な名水によって大事に造られた日本酒「英勲」は、まさに世界に誇る美酒として知られています。

そんな齊藤酒造の情熱を全て込めて造られた結果、日本酒の最高峰の品評会とも言われる「全国新酒品評会」で14年連続金賞を受賞するという偉業を達成しました。

また、「英勲」には純米大吟醸や純米吟醸、純米酒、本醸造、普通酒など様々なタイプがあり、柚子や梅などの果実を使ったリキュールも存在します。それぞれのお酒には、独自の特徴や味わいがあるものの、全体的に「深みのある上品な味わいがあり、フルーティーな吟醸香」を楽しめるのが特徴です。

齊藤酒造:人気銘柄4選

齊藤酒造が造る日本酒の中で、人気の高い4つの銘柄をご紹介します。

ぜひ試してみてください。

一吟 純米大吟醸 

一吟箱付き(画像提供:SAITO SHUZO co.)

一吟は、齊藤酒造の最高級の純米大吟醸酒。原料米には全量「山田錦」を使用し、極限の35%まで磨き上げて醸されています。淡麗さとフルーティな吟醸香、優雅さを引き出した上品な味わいが特徴的です。全国新酒鑑評会で金賞を受賞したこともある逸品で、国内外で高い評価を得ています。

井筒屋伊兵衛 純米大吟醸

井筒屋伊兵衛35% 720ml(画像提供:SAITO SHUZO co.)

井筒屋伊兵衛は、齊藤酒造の先祖が呉服商として営んでいた店の名前を冠した純米大吟醸酒です。京都産の幻の酒造好適米「祝」を全量使用して造られています。ほのかに漂う吟醸香と淡麗でフルーティな味わいがバランスよく調和したお酒です。

古都千年 純米吟醸 

古都吟720化粧箱付(画像提供:SAITO SHUZO co.)

古都千年は、「悠久の歴史ある京都」にちなんで名付けられた齊藤酒造の純米吟醸酒です。京都府産の「祝」を全量使用し、55%まで磨き上げて造りあげられています。純米大吟醸とは異なり、キレのある口あたりと程よい辛さがある味わいが特徴。吟醸香も程よく立ち、飲みごたえ抜群の一本です。

大鷹

大鷹720ml化粧箱あり(画像提供:SAITO SHUZO co.)

大鷹は、齊藤酒造の現在の代表銘柄「英勲」の以前の商標の名を冠した特別純米酒です。京都の酒造好適米「祝」を使用し、伏見の名水で作り上げられています。原料米の旨みを引き出し、深いコクと適度な辛さ、そして控えめで心地よい香りをバランスよく調和させた冷酒も燗酒も楽しめる純米酒です。

まとめ

この記事では、京都の伏見に蔵を構える老舗酒蔵「齊藤酒造」の歴史や代表銘柄「英勲」の特徴、そして人気銘柄4選を紹介しました。

120年以上の歴史ある老舗酒造なだけあり、生み出すお酒には、造り手の情熱やこだわり、そして思いがたくさん詰まっていることがお分かりいただけたかと思います。

ぜひ、伏見の地で築かれた齊藤酒造の世界に足を運び、洗練された日本酒の奥深さを堪能してみてください。