城南宮【大河ドラマ「光る君へ」との関係は?】椿餅と源氏物語「しだれ梅」で有名な京都・伏見の城南宮とは⁉

2024年「しだれ梅と椿まつり」や初詣情報も掲載

たくさんの梅の名所が集まる京都の中でも、伏見にある「城南宮」は随一の梅の名所として知られています。

境内には約150本の梅の木が植えられており、その中でも特に美しいのが、滝のように降り注ぐ「しだれ梅」。毎年2月から3月にかけては、「しだれ梅と椿まつり」も開催され、圧巻の景色を楽しむことができます。

また、城南宮は例年10万人の参拝客が訪れる、京都でも有数の初詣スポットのため、2024年の初詣にも多くの参拝客が訪れるでしょう。

そこでこの記事では、城南宮の歴史や見どころ、さらに2024年開催予定の「しだれ梅と椿まつり」や初詣の情報などをお伝えしていきます。

城南宮:京都・伏見の歴史と伝統を感じる、方除けの神社

城南宮は、京都の伏見に鎮座する神社です。創建の年代は不詳ですが、平安京遷都の際に、都の守護と国の安泰を願って建てられたとされています。

ご祭神は、国土の守護神である国常立尊(くにのとこたちのみこと)、武勇に秀でた八千矛神(やちほこのかみ・大国主命)、安産と子育ての守り神の神功皇后(じんぐうこうごう)の3柱で、「方除け」や「厄除け」の神様として、今なお篤い信仰を受けています。

城南宮は、京都でも随一の「梅の名所」としても有名で、源氏物語に登場する花を集めた「神苑」と呼ばれる庭園には、約150本の梅の木が咲き誇ります。特に注目すべきは、美しい「しだれ梅」で、毎年2月から3月にかけては、しだれ梅と椿の花が見事に咲き誇り、訪れる者を圧倒する風景を楽しむことができます。

また、城南宮では「梅が枝神楽」や「祓神楽」など、巫女たちによる優雅で格式高い行事も開催。春と秋には「曲水の宴」が行われ、その優雅な雰囲気は訪れる者に感動を与えます。

城南宮は神聖な雰囲気に包まれながらも、梅や花々の美しさを楽しむことができる、日常を離れた特別な場所として、数多くの参拝者に愛されています。

城南宮の歴史

創建当時は、京都の安泰と国の守護を願い建設された城南宮。平安時代後期になると、白河上皇や鳥羽上皇によって、城南宮は院政の拠点へと変化しました。

その際には、城南宮の近くに「城南離宮(鳥羽離宮)」と呼ばれる御所も増築。この御所は神事や歌会など華やかな宴などが行われる平安王朝文化の中心地になります。

ちなみに、この時、院政を始めたばかりの白河上皇が、配下の武士へ力を誇示するために見せた、射手が馬を馳せつつ矢つぎばやに的を射る技が「流鏑馬(やぶさめ)」の始まりとされています。

その後、承久3年(1221年)になると、城南宮の煌びやかなイメージが一転し、後鳥羽上皇がかねてより敵対していた幕府軍に敗北し、隠岐に島流しになります。

そして、後鳥羽上皇がいなくなった城南宮は、鎌倉幕府の手へと堕ち、14世紀まで院御所として使われるようになりました。

城南宮の見どころ3選

城南宮の見どころについて、3つピックアップしてご紹介していきます。

滝のように降り注ぐ「しだれ梅」

城南宮最大の見どころと言えるのが、早春に花咲く「しだれ梅」の絶景です。

境内西側に広がる回遊式庭園「神苑:楽水苑」。その庭園の一角「春の山」には、約150本の「しだれ梅」の木が植えられており、毎年2月下旬から3月上旬頃の開花時期になるとこの世のものとは思えないほど美しく梅の花が咲き誇ります。

特に城南宮で見られる梅は、柳のような枝が特徴の「しだれ梅」。うすべに色や白色の梅の花が、緑の苔の上を流れ落ちるように咲き誇る様子は圧巻で、まさに「花の滝」と形容できます。

初めて訪れる方は、「これが本当に梅?」と固定観念が覆ってしまうほどの絶景ですので、人生で一度は城南宮の神苑「春の山」へ足を運んでみることをおすすめします。

四季折々の景色が楽しめる神苑「楽水苑」

「しだれ梅」の美しさで知られる神苑ですが、それだけでなくツツジ、桜、藤、青もみじ、紅葉など四季の美しい景色を楽しめる庭園としても知られています。

この庭園は、昭和の名庭師「中根金作」が生涯をかけて手掛けた回遊式庭園であり、源氏物語に登場する80種類あまりの草や木が植えられていることから、「源氏物語 花の庭」とも称されています。

また、庭園には、椿、三つ葉、ツツジ、しだれ梅などが咲き誇る「春の山」の他、平安時代の庭をモデルとした「平安の庭」や室町時代の様式で作られた「室町の庭」、桃山時代の気風を反映した「桃山の庭」や平安時代後期の様子を表す「城南離宮の庭」など、趣の異なる5つのエリアで構成されているのが特徴。

一度足を踏み入れれば、四季折々の風景とともに、異なる時代にタイムスリップしたかのような不思議な体験ができることでしょう。

京都を代表する行事「曲水の宴」

城南宮では、毎年「曲水の宴」と呼ばれる優雅な行事が、神苑内にある平安の庭で催されます。

曲水の宴とは、奈良時代から平安時代にかけて、宮中で開催された貴族の優雅な歌会を再現する行事のこと。平安時代の装束をまとった歌人が小川のそばに座り、盃が行き交うまでに和歌を詠み、それを短冊に記すという、貴族たちの歌会が再現されます。

開催日は、実際に平安時代の貴族たちが春と秋の2度、曲水の宴を行っていたという歴史的な背景に基づき、今でも毎年「4月29日」と「11月3日」の春と秋の2回に分けて行われています。

曲水の宴が行われる日に限っては、神苑の入場料が無料になるため、多くの参拝客が訪れることが予想されます。

2024年「しだれ梅と椿まつり」で梅と椿の美しい景色を堪能しよう!

城南宮では、毎年2月〜3月にかけて、「しだれ梅と椿まつり」という名の伝統行事が開催されます。

「しだれ梅と椿まつり」とは、春の訪れを告げる梅と椿の競演が楽しめる人気のイベントで、来年2024年(令和6年)は、「2月18日から3月22日」までの開催が予定されています。

早春の城南宮は、その美しさで広く知られる「しだれ梅」が特に有名です。しかし、「しだれ梅と椿まつり」と題される通り、城南宮はしだれ梅だけでなく、見事な「椿」もその主役なのです。

実際、城南宮は「椿の名所」としても知られており、神苑入口から春の山、さらに平安の庭にかけて150品種・約400本の椿が次々に咲き誇ります。

特に、しだれ梅の散りはじめの頃に見られる「花びらのじゅうたん」としだれ梅の間に落ちた「散椿」、そして苔の緑のコントラストは、このまつり期間にしか目にすることができない壮大な景色です。

「しだれ梅と椿まつり」期間中の楽しみ方

「しだれ梅と椿まつり」は、梅や椿などの鑑賞を楽しむのはもちろんのこと、「まつり」という名が付くだけあり、様々なイベントや特典が用意されています。

以下では、まつり期間中でしかできないおすすめの楽しみ方を紹介します。

梅が枝神(​​うめがえしかぐら)

城南宮の境内には、平安時代の京都の貴族の住宅形式「寝殿造り」をモデルとした「神楽殿」と呼ばれる御殿があります。

毎年、しだれ梅と椿祭りの期間中は、この神楽殿にある表舞台で「梅が枝神楽」と呼ばれる神事が開催されます。梅が枝神楽とは、梅の花を神様に捧げるとともに、梅の花の美しさや香りを讃える神楽です。

舞台では梅の花を冠に挿した巫女さんが雅やかに舞います。古典的な音楽に合わせて、梅の花の咲き誇る姿を表現したり、梅の花の香りに誘われた鶯が鳴いたりする様子を見せたりします。神楽殿の雰囲気と相まって、春の訪れを感じることができるでしょう。

梅の花守り特別授与

梅の花守りとは、梅が枝神楽を終えてから、希望した人にのみ授与されるお守りです。お守りには、「心身の健康と除災招福」が祈願されており、受け取る際には、巫女からの神楽鈴でのお祓いも受けられます。一人につき1回、初穂料1,000円でお守りを受け取ることができます。

限定御朱印帳

お寺や神社を巡る方々にとって、「御朱印集め」は楽しみの一つでしょう。御朱印をいただくための御朱印帳には、様々なデザインや色があり、参拝者の好みに合わせて選ぶことができます。

城南宮でも、四季に合わせた色とりどりの御朱印帳が用意されています。特に梅の季節に限定販売される「ピンク」と「クリーム」の2色の御朱印帳は、しだれ梅をあしらっており、上品な雰囲気が漂う一冊です。

さらに、しだれ梅の栞も付き、裏面には可愛らしい神馬が描かれており、特に女性に喜ばれそうな仕上がりです。城南宮の限定御朱印帳は、その上品なデザインとこだわりが、訪れる人々に特別な思い出を残してくれることでしょう。

植木市

城南宮では、まつり期間中に植木市も開催されます。植木市とは、梅をはじめとする様々な植物や花が販売される市場のことで、しだれ梅はもちろん、椿やサザンカ類なども販売されています。

国の名勝にも指定されている「しだれ梅」を自宅でも鑑賞できるのはなんとも贅沢なひととき。夕方には、植木市の植物のほとんどが売り切れになってしまうとのことですので、なるべく早めに立ち寄ってみてください。

名物「椿餅」

城南宮の名物といえば、「椿餅」。椿餅とは、平安時代に貴族の邸宅で行われていた蹴鞠大会にも振舞われていた和菓子で、「源氏物語」にも登場する日本最古の和菓子です。

椿の葉で包まれた白い道明寺餅の中には、甘い餡がたっぷり!椿餅の中央には、黄色の花芯も配置して、白玉椿を忠実に再現しています。

本来は、伏見の竹田街道沿いにある「松甫堂(しょうふうどう)」で販売されているこの椿餅ですが、まつり期間中は、城南宮の参道でのみ、限定販売されています。

城南宮:2024年初詣の情報

城南宮は、京都市内でも有数の初詣スポットとして知られており、例年約10万人の参拝者が訪れるとも言われています。

城南宮の初詣の期間は、元日の午前0時から8日頃までとされていますが、参拝日時によっても混み具合は変動します。

そこで、以下では城南宮の2024年初詣の混雑状況についてお伝えしていきますので、初詣計画の参考にしてみてください。

最も混雑が予想されるのは三が日

2024年、城南宮の初詣で最も混雑が予想されるのは、元日から3日までの三が日です。特に元日の「午前0時〜午前2時」と「午前11時から午後1時ごろ」は、例年多くの人が最初の参拝に訪れるために、混雑が予想されます。

深夜の時間帯は、参拝に2時間以上かかる可能性もありますので、寒さ対策や体調管理に十分に注意してください。また、令和3年からは、午前2時から午前7:30分までのご祈祷の申し込みができなくなったため、ご祈祷を希望される場合は、この時間帯を避ける必要があります。

2日と3日に至っては、午前中は混雑が続きますが、元日に比べて午後は少しずつ落ち着いてきます。ただし、午後4時以降は、日が暮れて寒くなりますので、防寒着や暖かい飲み物を持参することをおすすめします。

参拝におすすめの時間は?

城南宮の初詣で、比較的空いている時間帯に参拝したい場合は、「早朝から午前10時まで」の時間帯かもしくは夕方の時間帯を狙って行くのがおすすめです。

特に午前9時以降の場合は、程よく空いていて禊神楽の奉納も見ることができるので一石二鳥です。

また、4日以降は、平日でも休日でも、比較的空いていますので、ゆっくりと参拝することができます。ただし、4日5日の午前中は、会社の仕事始めにあたり、会社の繁栄祈祷で混み合うことも予想されるので、なるべく午後の時間帯に参拝の予定を入れてみましょう。

1月の神事日程と内容について

1月1日〜3日:祓神楽(はらえかぐら)

1月1日〜3日までは、毎日午前9時から午後4時の間、神楽殿の表舞台で「祓神楽」が奉納されます。この神事は、「一年の無病息災や厄除け」を祈願するために行われ、巫女たちは澄んだ鈴の音を奏でながら祓神楽を舞います。奉納される際は、おおよそ30分ごとに執り行われます。

1月5日:釿始(ちょうなはじめ)式 

1月5日の正午からは、釿始式が行われます。釿始式とは、建築工事の安全と繁栄を祈願する新年の神事。釿(ちょうな)という横斧を使って、木材を切ったり、墨を引いたり、削ったりする様子を模擬的に行いながら、一年間の仕事の無事と会社の繁栄を祈願します。

1月20日:湯立神楽(ゆだちかぐら)

1月20日に行われる湯田神楽は、日本の伝統的な神楽の一種で、釜で沸かした熱湯を使って神事を行うものです。長野の正八幡神社でも行われるこの神事ですが、城南宮では、襷(たすき)を掛けた巫女が、文政6年(1823)という年号が刻まれた大釜の湯を使い、笹の葉で力強く振りまいて邪気を払うのが伝統。これにより、無病息災や願望成就を祈願します。

城南宮の参拝情報

住所京都府京都市伏見区中島鳥羽離宮町7
電話番号075-624-0846
開門時間境内:自由神苑拝観:9時〜16:30(定休日はなし)
拝観料境内:無料神苑拝観:大人(中学生以上):1800円、小学生:500円障がい者手帳を提示の方:400円(付き添いの方1名まで同額)
アクセス①京都駅八条口より市バス19系統乗車、城南宮下車徒歩約3分、京都らくなんエクスプレス南行乗車、城南宮前下車徒歩約5分②地下鉄烏丸線・近鉄京都線竹田駅より徒歩約20分、または市バス18系統・南1系統・南2・特南2系統乗車、城南宮東口下車徒歩約7分

まとめ

この記事では、京都の伏見にある「城南宮」について、歴史や見どころ、2024年「しだれ梅と椿まつり」の情報、初詣の混雑予想などをお伝えしました。

城南宮はその歴史的な背景と共に、美しいしだれ梅や椿といった豊かな自然環境にも囲まれた、神聖な場所として訪れる価値があります。

ぜひ、京都・伏見ならではの伝統と自然美を感じられる城南宮へ一度足を運んでみてください。